過去、何度か転職をしたことがある方にとってはとても気になる問題と言えるでしょう。
そこで今回は、
- 転職回数の多さは次の転職に影響するのか
- なぜ転職回数が多いと不利になるのか
- 転職回数で判断されないための極意
- 転職回数が多くても転職に成功した人の体験談をご紹介します
例え転職を複数回していても、コツさえ掴むことが出来れば転職回数の多さをプラスに変えることが出来ます。
転職の回数に左右されないためにはどうすれば良いのか、じっくり見ていきましょう。
転職回数の多さは自身の評価を下げる
転職回数の多い応募者に対するイメージ
転職回数が多い人材に対して、「企業はあまり良いイメージを持ちません」。
昨今は転職を後押しする風潮があるため、それだけを理由に落とされることは無くなってきましたが、依然として転職回数が多い人材に対するイメージは悪いものと言えます。
詳しくは後述しますが、面接官は転職回数が多い人材に対して、
- すぐに辞めてしまうのでは
- 堪え性がないのでは
- コミュニケーション能力に問題があるのでは
といったイメージを持っています。
何回から転職回数が多いと言われる?
企業、面接官によって多いと感じる転職回数は様々ですが、一般的に「20代で3回以上、30代で5回以上」転職をしていると年齢に対して転職回数が多いと判断されます。
また、「一つの会社に3年以上居たことがない」人に対しても悪いイメージを持つ傾向が強いです。
特に半年以内で辞めている勤め先があった場合は、転職回数が少なかったとしても深く追求されることは免れません。
転職回数が多くても成功した人は存在する
転職回数が多いからといって、好条件の転職先を見つけられないということには繋がりません。実際に30代で10回以上転職をしているケースでも、転職の度にキャリアアップを果たしている方はたくさんいます。
確かに転職の回数が人と比べて多いことは転職活動の妨げとなるでしょう。しかし、だからと言って転職を諦める必要は無いのです。
転職を成功させるために重要なのは、「培ってきた経験と自分には何が出来るのか」を面接官にアピールし切れるかどうかです。
転職回数の多さに引け目を感じるのではなく、「どうすれば自分に興味を持ってもらえるか?」を考えるようにしましょう。
なぜ転職回数が多いと不利になるのか
会社に定着してくれないのではと思われるため
あまり知られていませんが、企業が人材を採用するためには「膨大なコスト」が掛かります。
例えば人材紹介会社経由で人を雇った場合、企業は雇用した人物に支払う年収の3割前後をインセンティブとして人材紹介会社に支払わなければならなくなるのです。
また、若手の人材を採用した場合は採用コストに加えて、教育コストも負担しなければいけません。
それにも関わらず、採用した人物がすぐに辞めてしまうとどうなるでしょうか。当然、企業は大きな痛手を負います。
採用担当者の責任問題になる可能性があるため
採用担当者は、職を転々としている在職期間の短い人を嫌う傾向にあります。
それはなぜかと言うと、採用した人材がすぐに辞めてしまった場合、「採用担当者の責任問題」となりかねないからです。
企業の希望する人材像を満たしているにも関わらず、書類で落とされてしまうケースは、採用担当者が自分の責任問題となることを避ける目的であることが少なくありません。
忍耐力がないのではと疑われるため
職を転々としている人の中には、難しい問題が起きる度に転職を繰り返している人も存在します。
しかし、企業が欲しいのは、「困難な局面でも粘り強く対応」してくれる人材です。
そのため、面接官は転職回数の多い人物の採用を考える時、忍耐力があるかを見極めようとします。特に前職を数か月で辞めている場合などは面接官の見る目も厳しくなるでしょう。
転職回数で判断されないための5つの極意
その1.転職の目的を明確にする
面接官は転職回数の多さについて疑問や疑念を感じますが、転職の目的が明確な場合は、職を何度も変えていてもあまり気にしません。
具体的には、
- 一貫して同じ仕事を続けてきた
- 特定の仕事やポジションを熱望している
- キャリアアップのために転職をしてきた
とアピールをすれば、転職回数だけで判断をされることは無くなります。書類審査で落とすことなく面接を行っている時点で、企業は転職回数のみを理由に採用を見送ろうとは考えていません。
あとは、自分の有用性をアピールするだけですから、「転職の目的を明確にし、自身を採用するとどんなメリット」があるのかを面接官に伝えていきましょう。
その2.今後の展望を具体的に語る
今後の展望をしっかり見据えた上で、転職先の企業で何が出来るのかを具体的に述べるのはかなり有効です。
例えば、
- 採用後は○○について学び、その後○○となれるよう努力したい
- これまでの経験を活かし、御社では○○としての役割を果たしたい
- 既存の働き方に固執し過ぎることなく、何事にも柔軟な対応力を発揮していきたい
などの言い回しをすると、面接官に対して「伸びしろがありそうな人材だ」と印象付けることに繋がります。
コツとしては、自分の経歴やこれまでの仕事に対する姿勢をさりげなくアピールするのがおすすめです。
その3.コミュニケーション能力をアピールする
転職回数の多さは人間関係のトラブルが原因なのでは、と疑われることは少なくありません。そのため、転職面接の際は、「コミュニケーション能力が低い」と思われることは避けたいです。
昨今は特にコミュニケーション能力を重視している企業が増えていますから、社内外の人間と問題なく接することが出来るとアピールしましょう。
コミュニケーション能力をアピールする際は、
- 仲間と協力した仕事をやり遂げたエピソードを披露する
- リーダー経験がある場合はどのように集団をまとめたのか詳細に話す
- 人見知りと思われるような言動・挙動をしないよう心掛ける
などが有効です。特に統率力を併せてアピールできるエピソードはどんな面接官にも好まれます。
人見知りと思われるような言動・挙動は、
- 目を見て話さない
- 過度に緊張している
- そわそわと落ち着きがない
などが該当します。これらはすべてコミュニケーション能力に問題があると判断される要因となりますので、自分が該当すると思ったら面接の前に改善しておきましょう。
その4.経験のある職種に応募する
20代であれば、多少転職の回数が多くとも異業種への転職が可能ですが、30代を過ぎて未経験の業界へ転職するのは非常に困難でしょう。
というのも、転職回数が多く異業種への転職を考えている人に対して、企業は「ふらふらしている一貫性のない人」という印象を持つのです。
30代以降はあえて経験のある職種に応募し、募集しているポジションに「適したスキルを持っている」とアピールしましょう。自分の経歴が活かせる企業に応募先を絞ることで、相対的に自分の価値を高めることが出来ます。
特に技術職や営業職は、「経験やスキルの有無が転職の成否を分ける」と言っても過言ではありません。
その5.転職回数にコンプレックスを持たない
面接官は転職回数にコンプレックスを持っている求職者を好みません。
なぜなら、転職回数にコンプレックスがあるということは、「自分でも転職し過ぎていると感じており、妥当ではない転職をしている自覚がある」と言っているのと同じだからです。
面接官は、
- 転職回数を聞かれて言い訳をした
- 意図的に転職の回数に関する話題を避けようとした
などのタイミングで「転職回数にコンプレックスがあるのでは?」と感じます。
例え転職回数が多かったとしても、転職の理由が妥当であり、一貫性のあるキャリアを歩んでいるのならば面接官は気にしません。
転職面接の際は、転職の回数が気になっていたとしてもコンプレックスだと考えている素振りを見せないようにしましょう。
転職回数が多くても転職に成功した人の体験談
話し方を変えて転職に成功した人の体験談
私は6回とやや多い転職回数に引け目を感じており、面接の際はああだこうだと言い訳をしてしまっていました。
当時は「どうにか誤解されないようにしなければ」と思い理由を述べていたつもりでしたが、今思えば余計に面接官の心証を悪くしていただけだと分かります。
それに気付いて以降は、転職回数の多さを説明する時、転職によってどのようにキャリアアップ出来たのかを話すようにしました。
すると、採用担当者の食いつきも良くなり、すぐに希望の企業から内定が貰えたのです。
まったく同じ事柄について話していても、「話し方次第」で聞き手の感じ方は大きく異なります。このケースはその好例と言えるでしょう。
面接官は転職回数の多さに関する言い訳よりも、「転職することで何を得たのか?」、「なぜ転職が必要だったのか?」といったことについて知りたがっています。
転職理由を明確に示して転職に成功した人の体験談
新卒から営業職をしており、年齢は37歳。転職は今回で8度目になります。
面接で心掛けているのは、転職によってこれまで何を得てきたかしっかりと説明することと、なぜ今回転職をしようと思ったのか明確に示すことです。
具体的には、
- 大きな企業に営業を掛けるやりがいを知ることができた
- 営業難易度の高い商材を取り扱うことで営業スキルに磨きをかけることができた
- リーダーとしてチームを統率できるポジションに就きたいと思った
- 今後は個人の営業成績は勿論、チーム単位で大きな成果を上げたい
という話をするようにしています。これらのことを面接でしっかりと説明できた企業からは大抵内定を貰っており、転職に失敗したと思ったことは一度もありません。
転職を繰り返しても成功し続ける人は必ず「これまでの経験・実績」、「転職しようと思った理由」を面接官に対して明示しています。
逆に言えば、それらについて具体的に語ることが出来ない人が転職に成功するのは難しいのです。
また、営業職にこだわって転職を繰り返してきたという経歴も一貫性を感じさせるため、面接官の心証を良くします。
このケースは転職回数が多い人でも、コツさえ分かっていれば転職に成功できるということをよく示した好例と言えるでしょう。
入念な事前準備をすることで転職に成功した人の体験談
私はこれまでに10回の転職をしていますが、すべてなんとなくで職を変えており、特にキャリアアップを目指していたなどの理由はありませんでした。
40代を過ぎ、転職を繰り返すうちに条件が悪くなってきていることは自覚していたので、直近の転職では、自分のこれまでを振り返り「入念な準備」をした上で面接に臨みました。
特に入念な準備をしたのは、
- なぜ転職回数が多いのか
- 異業種へ転職した理由はなにか
- これまで培ってきたスキルや経験はなにか
などの質問に対しての答えです。なんとなくで転職をしていたのだと悟られないために、異業種へ転職した理由を話す際は、
「〇〇の職では△△という経験が出来なかったので、□□に転職した」
と話しました。そこから、
「ひとつの職種を続けていては持ちえない柔軟な対応力を獲得した」
と繋げると上手くまとまるので、これから面接に挑む方は真似をしてみて下さい。またそれらに加えて、
- コミュニケーション能力に問題があると思わせない
- 忍耐力が無いと感じさせない
ことも心掛けました。暗い表情をしない、受け答えをする際に身振り手振りを加えて、人と話すことに慣れているとアピールするのは有効だったと思います。
忍耐力があると思わせるためには難しいプロジェクトを成功させた、などのエピソードを交えると、面接官の食いつきが良かったです。
この方のように転職理由を語れと言われても、マイナスポイントとなる理由しか出てこないという方は少なからずいます。
しかし、だからと言ってキャリアアップや労働条件の改善を諦める必要はありません。
転職をした際は気付くことが出来なかったとしても、振り返ってみると良い経験が出来たと感じることはあるはずです。
転職面接の際は、転職することで得られた経験や獲得したスキルについて話し、そこから将来の展望に繋げると良いでしょう。
まとめ
基本的に転職回数が多いと、次回の転職は不利となります。
その理由は、
- 忍耐力がないのでは
- すぐ辞めてしまうのでは
- コミュニケーション能力に問題があるのでは
と疑われてしまうからです。
しかし、企業は転職回数だけで応募者の適正を見ているわけではなく、
- 目的意識がはっきりしている
- 今後の展望が明確
- コミュニケーション能力が高い
などの点が確認できた場合は、例え複数の転職経験があったとしても積極的に採用しています。
それを踏まえた転職回数で判断されないための極意は、
- 転職の目的を明確にする
- 今後の展望を具体的に語る
- コミュニケーション能力の高さをアピールする
- 経験のある職種・業界に応募する
- 転職回数にコンプレックスを持たない
の5つです。特に1つ目と2つ目は、面接で聞かれたらすぐに答えられるよう、事前にどんな内容を話すべきか決めておきましょう。
転職の目的や今後の展望を語る際に、コミュニケーション能力の高さをアピールできるエピソードを盛り込むと更に効果的です。
転職回数の話題を振られてもはっきりと答えられるよう事前準備をした上で、自分の経歴にコンプレックスを持つことなく経験のある職種・業界へ応募すれば転職を成功させることは難しくありません。
20代の若手であれば、これまでの経験を活かしつつ異業種へ転職するという道もあります。