転職を考えている人なら、
この言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。30代になると、転職は厳しいという意見や、40代以上は転職することができないという言葉も聞いたことがあるでしょう。
しかし、これは事実ではありません。
- 転職は若い方が有利なのか
- 30代は本当に転職が難しいのか
- 40代は転職できないのか
転職を考えている人にとって、このような言葉は大きな不安要素になるでしょう。
ただし、この意見は非常に狭い視野で語られたものです。実際には、40代でも転職に成功している人はいます。
そこで今回は、転職活動で年齢が採用にどのように関係しているのかをデータに基づいて解説します。
転職成功者の年齢の割合から、各世代が転職活動で意識するポイントなども紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
転職成功者の年齢別割合
まず、年齢によって転職成功の割合がどのように変わってくるのかを見てみましょう。
転職サイトのdodaの調査によると、2018年上半期6ヶ月の転職成功者の年齢の割合は以下のようになっています。
- 24歳以下:10.3%
- 25〜29歳:39.6%
- 30〜34歳:23.3%
- 35〜39歳:13.0%
- 40歳以上:14.0%
また転職成功者の平均年齢を見てみると、2007年が29歳なのに対し、2018年上半期では男性が32.4歳、女性が29.7歳、平均すると31.6歳という結果になっています。
40歳以上でも14%の人が転職に成功しています。
次に、2018年上半期の職種別転職成功者の平均年齢を見てみましょう。
- 建築/土木:34.7歳
- 医療/科学:32.1歳
- 電気/機械:32.8歳
- IT/通信:32.4歳
- 企画/管理:34.5歳
- 専門職:33.1歳
- 事務/アシスタント:33.8歳
- クリエイティブ:31.4歳
- 営業:29.9歳
- 販売/サービス:28.7歳
営業と販売/サービスの分野に関しては、30歳を下回っていますが、他の職種では、転職成功者の平均年齢が30歳以上となっています。
平均年齢最高値の建築/土木(34.7歳)は、2017年と比較して平均年齢が1歳下回る結果となっています。
しかし、全体を通して見てみると、30歳以上でも転職成功者が確実にいるということが分かります。
また、DOAが2018年6月に社会人3000名を対象に行ったアンケートでは、
- 転職に年齢は問わない:58.6%
- 転職できる年齢に上限がる:41.4%
という結果になりました。
半数以上の社会人が、転職に年齢は関係ないという回答をしています。職種によっては、年齢を重ねてスキルアップした人材を欲しがっている企業もあるということが分かります。
という考え方をする人もいるでしょう。しかし、実際は転職する人のスキルや職務経験などで違ってくるということです。
転職しやすい年齢があるのも事実
とはいえ、転職成功者は圧倒的に年齢の若い人が多いのも事実です。
なぜ多くの企業が年齢の若い人を採用するのかというと、
- 未来がある
- 仕事を覚えるのが早い
- 素直
- 基礎体力がある
- 上司と部下の年齢が逆転しない
このような理由があります。
若い世代が求人企業に好まれる理由を見ていきましょう。
未来がある
年齢が若い人材には、その分未来があります。企業は社員の人材育成に大きな予算を払っています。
スキルが全く同じ転職志望者の場合、25歳と35歳では10年後の年齢も大きく異なります。
多くの企業の目的は、優秀な人材を育成して企業の売上に貢献してもらうことのはずです。25歳と35歳の人間を同時に採用した場合、定年までの雇用期間が10年も異なります。
この点から多くの場合、年齢が若い人の方が転職に有利なことが分かるでしょう。
仕事を覚えるのが早い
年齢が高くなるにつれて脳の回転も遅くなっていきます。仕事を速く覚えようと思っても、何度も反復しないと覚えられない人も多いはずです。
企業側からすると、即戦力になりやすい若手を選ぶのも理解できます。
素直
歳を重ねるごとに、人間は固定観念に囚われてしまうものです。
その点、若い世代は失敗を恐れずに行動できるメリットがあります。頭で考える前に作業ができる素直さは、企業にとっても教育しがいがあると言えます。
年齢が高い人は指示を受けた際、頭で考えてしまいがちです。企業の方針に疑問を持つ人も多いでしょう。
基礎体力がある
エンジニアや力を使う職種の場合は、特に基礎体力のある若手を欲しがります。
また、ベンチャー企業ではハードワークを強いられることもあります。この際、体力がある若手の方が優位になります。
体力の消耗が激しい人材よりも、繁忙期に食らいついてくる若手を採用するのは当然と言えるでしょう。
上司と部下の年齢が逆転しない
年齢が高い社員を採用した際に起こる問題が、上司と部下の年齢が逆転してしまうことです。上司と言えども、自分よりも年上の社員に対して、気を使わずに指示を出せない人もいます。
職場の雰囲気が変わってしまうことによって、仕事に支障が出るのではないかと心配する採用者も多いです。若手ならば気兼ねなく話すことができます。
この点も若手が優先的に選ばれる理由になっています。
年代別:転職を成功させるためのポイント
転職活動に関して、年齢は少なからず採用に響いていることは確かです。企業によっては、採用基準として「35歳まで」と決めていることも少なくありません。
雇用対策法では「募集・採用に係る年齢制限の禁止の義務化」として、年齢によって採用を判断してはいけないということになっています。
しかし、現実は違います。年齢制限が存在する企業は、今も数多くあるのが現状です。
そんな気持ちになってしまう人もいるでしょう。しかし、諦めることはありません。
転職成功者のデータを思い出してみてください。40代以上でも、14%の人間が転職に成功しています。つまり、転職できるチャンスはあるということです。
ただ、20代と同じ方法で職探しをしても有利な立場には回れないでしょう。各年代にあった職探しや方法があるはずです。
ここでは、年代別に転職を成功させるポイントを見ていきましょう。
20代が転職活動で意識するべきポイント
まずは20代です。年齢も若くキャリアも浅い世代のため、多くの企業は実績や今までの成果を期待していません。
面接官は、あなたが携わってきた仕事について質問してくるでしょう。面接官は大きな実績がないことを理解した上で、この質問を投げかけています。
この際、注意するべきポイントは、
- 少ないキャリアの中でどんなことを学んだか
- 与えられた仕事をどのようにこなしてきたか
- その結果、どのような成果を残せたか
を明確に答えられるようにしておくことです。
また、面接官はあなたに、
- なぜ転職すると決意したのか
- この企業を志望した動機
- 企業でどのように貢献していきたいのか
という質問を投げかけてくるでしょう。
面接官は勤務年数が少ないにも関わらず、転職を決意した背景を知りたがっています。
キャリアが浅いにも関わらず、転職を決意した理由のほとんどがネガティブな理由のはずです。
- 給料が少ない→実力主義の会社で働きたい
- 上司と反りが合わない→協調性を活かした職場で働きたい
このようにネガティブな理由を、ポジティブなイメージに変換して答えるようにしましょう。これにより、面接官が受ける印象も大きく変わります。
そのため、事前に企業でどのように働きたいのか、どうなっていきたいのかという回答も考えておきましょう。
30代が転職活動で意識するべきポイント
30代になると、企業側が求めている人物像も大きく変わってきます。
企業が30代の転職者に求めているのは「即戦力になること」です。
企業で働いて既に10年以上のキャリアがある30代には、今まで培ってきたスキルが何よりの武器になります。面接官は20代と同じく、あなたが携わってきた仕事について質問してきます。
この際、注意するべきポイントは、
- 具体的に培ってきたスキル
- 評価された実績
- どのようなポジションについていたか
を明確に答えられるようにしておくことです。
20代とは異なり、30代はそれなりのキャリアがあります。そのため、企業はあなたが持っている、具体的な能力や経験を知りたがっています。
転職理由に関しても、キャリアがある分、具体的な理由を答える必要があります。ここで20代と同じような回答をすると採用率も低くなってしまうでしょう。
- 転職理由
- 志望動機
- 自分のスキルでどのように企業に貢献したいのか
この3点は、面接でしっかり答えられるようになっておいてください。
転職理由、志望動機、将来のビジョンに繋がりがあり、具体性のある回答ができると面接官も、あなたを採用した後のイメージがしやすいはずです。
ただし30代で全く知らない業種や職種に転職しようとすると一気に採用率が低くなります。
求人よりも応募人数が多い人気の業界では、年齢が採用率に関わってきます。30代後半になると、その差も大きくなります。
そのため、異業種に転職したい人は少しでも早く転職活動を始めることをおすすめします。
40代が転職活動で意識するべきポイント
40代は転職市場で最も厳しい立場にあります。年齢が高いことから、採用を断られることも多いでしょう。しかし、40代だからこそ、求められていることもあります。
40代の転職志望者に求められていることは「確固たるスキル」です。
ビジネスマンとしてのキャリアも十分な40代には、過去にどのようなことを成し遂げてきたのか面接官に伝えることがポイントになります。
面接官のあなたが携わってきた仕事に対して質問してきた際は、
- 過去に成し遂げた業績
- 部下を管理した経験
- 企業をどのように変革させられるか
のような点を強くアピールできると良いでしょう。
採用された際は、企業をどのように改革することができるのかも説明すると良いでしょう。
企業は40代の転職者に対して「企業をより良い方向へ導いてくれるのか」という点を判断しています。企業にとって重要な存在になりうる人材を採用したいと考えるはずです。
また、40代は自分の家庭を持っている人も多いはずです。現職に務めながら転職活動をする人も沢山いるでしょう。
そのため、
- 転職エージェントを活用する
- 転職マッチングサービスを活用する
などして、転職活動を迅速かつ効率的に進めていく必要があります。
現職で重要なポジションに就いている人なら、転職活動に割ける時間も少なくなるでしょう。この点も年齢の若い転職者と比較して、不利になってしまいます。
年齢が高い人は職場探しに注意が必要
年齢の若い転職者は、将来性を見込まれて未経験でも正社員として採用される機会に恵まれています。しかし、年齢が高くなればなるほど、職場探しは難航します。
ただ、年齢が高い人ほど「次はこの企業しかない!」といったふうに思考が硬くなって視野が狭くなりがちです。これでは、余計に転職活動が難しくなってしまいます。
家族を養っていかなければいけない人も少なくないはずです。
そんな中、現職を辞めて転職をしようと思うなら、視野を広げることも重要です。というのも、年齢が高くても未経験者歓迎で求人をかけている企業は実に多いからです。
業種や職種が未経験で年齢の高い社会人も積極的に募集しているのは、
- 営業職
- 接客業
- ITエンジニア
- 物流・倉庫
- 配送・交通
- 介護職
- 警備員
など実に様々な仕事があります。
新しいキャリアをスタートさせることは不安も多いでしょう。しかし、求められている業界で力を発揮することは仕事としてのやりがいにも繋がります。
年齢が高い人で転職活動に焦りを感じているなら、求人の多い業界や職種も検討してみてください。
まとめ
今回は、転職活動における年齢問題と各世代が踏まえておくべきポイントを紹介しました。
転職活動には、スキルや実績などを持ち合わせた多くのライバルが存在します。競争市場で少しでも勝率を高くしていきたいなら現状を把握しなければなりません。
20代の転職者に求められていることは、
- 仕事への情熱
- 将来性
など、これからの企業を背負っていけるフレッシュな人材です。
30代の転職者に求められていることは、
- 即戦力
- リーダーシップ
など、企業にとってメリットになるかどうかが問われています。
40代の転職者に求められていることは、
- 確固たるスキル
- 部下の管理能力
など、企業の未来を切り開いてくれるような人材です。
世代によって企業が求めていることが違うからこそ、アピールすべき点も変わってくるのです。
また、スキルや経験に自信がない人は視野を広げて求人の多い職種に、キャリアチェンジする方法もあることをお伝えしました。
年齢によって採用を判断している業種や企業は非常に多いものです。そんな市場では、どんなに熱意を伝えても採用されることはないでしょう。
今まで自分が毛嫌いしていたような職種であっても、経験してみなければ実情は分かりません。
転職活動を気に、新しいキャリアをスタートするのも1つの選択肢として有効です。そうすることで転職活動の年齢のリスクをグッと下げることができます。