転職をする際に「資格を取得すれば内定獲得に有利に働く」と考えている人は少なくないでしょう。しかし、資格には難易度のレベルやかかる費用なども様々です。そのため一概に「資格が転職に有利になる」とは言い切れません。
数ある資格の中で「実際、転職に有利になる資格が知りたい」と気になっている人もいるのではないでしょうか?少しでも転職の成功率を上げたいなら、転職活動前に資格について理解度を深めて対策を講じるのがおすすめと言えます。
そこで、今回は転職活動に関する「資格」について紹介します。各業界に対して、転職で有利になる資格の情報もお届けするので、ぜひ参考にしてください。
資格は転職に有利に働くのか
転職活動をする上で、資格を持っていることは内定獲得に有利に働くのでしょうか?
この疑問は職種によって大きく異なります。
- 専門性が高い仕事:資格必須
- 特別なスキルを要さない仕事:特に資格はいらない
このように職種によって、資格の必要性は変わってくるのです。
求人情報に「〇〇検定2級取得者」と記載されていれば、この資格を保有している人のみが、選考を受けることができます。
このような求人の場合「〇〇検定2級取得者」を取得することは当然であり、転職に有利になるとは言えません。資格を持っていることが前提となるため、転職志望者全員がこの資格を保有していることになるからです。
転職に関して資格が有利になるのは
- 仕事と深い関係性があり、実績と結び付けられるもの
- スキルの少ない人が資格で知識の習熟度を証明する
などの場合と言えるでしょう。
例えば、若い年齢の転職者で専門職のリーダーを担当できるような資格を取得していれば、企業は「この人には将来性がある」と判断する基準になります。
また、資格は習熟度を証明できるものです。職務経歴書に取得した資格が並んでいれば、採用担当からしてもスキルを判断しやすくなるでしょう。
このように全ての資格が転職で有利に働くわけではありません。職種や求人企業によっても、資格の重要度は変わってきます。あなたが転職を考えている業界や、企業がどのような人材を求めているのかによって、資格の優位性が変わることを覚えておきましょう。
様々な仕事の転職に有利な資格
ここでは幅広い仕事の転職に対して有利に働く資格を紹介します。転職で少なからず有利に働く資格を取得しておきたい人は、以下のような資格がおすすめです。
ITパスポート試験
「ITパスポート試験」は、ITに関する基礎知識を証明できる国家試験です。ITが浸透した現代社会で働く全ての社会人に必要な基礎スキルを習得・証明できる資格です。
ITパスポート試験の出題内容は
- ストラテジ系
- マネジメント系
- テクノロジー系
の3つの分野で、転職を考えている企業に対してITスキルを持っていることをアピールすることができます。
ITは年々進化を遂げており、今後もスピードは加速していくでしょう。仕事とも密接に関わるITに関して基本的なスキルを持っていることを証明できるのは、1人の社会人としての人材価値を少なからず上げることができるはずです。
- 勉強時間の目安:3ヶ月程度
- 受験料:5,700円
- 合格率:40%〜50%
MOS(Microsoft Office Specialist)
「MOS」はワード、エクセル、パワーポイントなどのマイクロソフトオフィス製品のスキルが証明できる国家資格です。
オフィスワークではワード、エクセルなどを使用する頻度は非常に高いでしょう。MOSを取得することによって、実務力、対応力などが身に付きます。企業で使用するエクセルシートなどを効率化するようなスキルの習得も可能です。
転職活動の際、エクセルやワードを最大限活用できることを文章や口頭で説明するのは困難です。この際、MOSを取得しておけば客観的にスキルを証明することができます。
- 勉強時間の目安:2ヶ月程度
- 受験料:スペシャリスト(一般)レベル:10,584円
- 合格率:80%
日商簿記検定
「日商簿記検定」は、商工会議所が実施している簿記に関する検定資格です。会計の基礎知識を身に付けられる資格になっており、経理はもちろんキャリアカウンセリングなどの仕事でも有利になる資格になっています。
日商簿記検定は1級〜3級までレベルがありますが、転職で有利になるのは2級です。企業の財務担当者に必須の資格とも言えるでしょう。企業からも求められている資格なので、取得しておくことで転職に有利になります。
日商簿記検定を取得しておけば、企業の採用担当から「数字に強い人」という印象を持ってもらうこともできるでしょう。
- 勉強時間の目安:3ヶ月〜5ヶ月
- 受験料:2級4,630円
- 合格率:35%〜40%
中小企業診断士
「中小企業診断士」は、中小企業に関する経営課題を診断する能力を身に付けることができる国家資格です。
経営コンサルタントの唯一の国家資格であり、将来的にキャリアアップしていきたい人や、管理職につきたい人に対して最適な資格と言えます。難易度は高いですが、その分資格取得者は企業から見ても魅力的な人材になります。
企業経営に関する知識を持っていることを証明することができる資格のため、ビジネススキルを向上させたい人にもおすすめの資格と言えるでしょう。業界を問わず、注目度の高い資格です。
- 勉強時間の目安:14ヶ月程度
- 受験料:1次試験13,000円/2次試験17,200円
- 合格率:19%
普通自動車運転免許
「普通自動車運転免許」は、社会人として必要性の高い資格です。仕事をする上で車を使う機会は意外に多く、外回りからちょっとした荷物の運搬などをすることもあるでしょう。
配送業以外でも使用頻度が高く、身分証明書にもなる運転免許は将来を見据えても取得しておいて損のない資格の1つと言えます。大手企業で地方勤務になる可能性のある人は取得必須の資格です。
- 勉強時間の目安:2ヶ月程度
- 受験料:20万円〜(教習所料金)
- 合格率:70%
TOEIC
「TOEIC」は資格ではないものの、転職の際に有利に働く試験の1つです。近年では国内企業でもグローバル展開する企業が増えてきました。そのため、英語力のある人材は転職で少なからず有利になります。
TOEIC800点以上など、高い英語力を証明することができれば、年収が高い外資系の企業へ転職する際も有利になります。「国際的な企業でキャリアを積んでいきたい」と考える全ての人に有効なものと言えるでしょう。
- 勉強時間の目安:現在の英語力による
- 受験料:5,725円
- 合格率:800点12%程度
不動産業界の転職に有利な資格
ここからは、職業別に転職で有利になる資格を紹介します。まずは不動産業界への転職を考えている人におすすめの資格をお届けします。
宅地建物取引士
「宅地建物取引士」は、宅地の売買、取引を行うために必須の国家資格です。不動産業界で社会人としてのキャリアを築いていきたい人は取得しておくべき資格と言えるでしょう。
不動産業界にも様々な職種がありますが、宅地建物取引士を持っていないとできない仕事も多く、資格保有者は転職で有利になることが予想できます。業界未経験の人間であっても宅地建物取引士を持っているだけで、人材としての価値が高まるのは確かです。
不動産業界だけでなく、保険、金融など比較的給料の高い業界で必要とされる資格になっています。転職で年収アップしたい人にもおすすめの資格と言えるでしょう。
- 勉強時間の目安:3ヶ月程度
- 受験料:7,000円
- 合格率:15%
不動産鑑定士
「不動産鑑定士」は、不動産の評価を行うことができる専門的な国家資格です。不動産の価格を決める重要な資格で、転職の際も有利に働きます。
不動産業界では、1つの企業に対して1名以上の不動産鑑定士を置かなければなりません。年齢や学歴に関係なく受けられる国家資格のため、不動産業界へ転職を考えている業界未経験者にも有効な資格と言えるでしょう。
公的機関や民間企業、個人などから依頼を受け売買の参考評価や、家賃の評価などを行う重要な資格です。人材としての価値はもちろんですが、不動産業界で本腰を入れて働いていきたい人に最適な資格になっています。
- 勉強時間の目安:12ヶ月程度
- 受験料:12,800円
- 合格率:10%
金融業界の転職に有利な資格
次に金融業界への転職を考えている人におすすめの資格を紹介します。
ファイナンシャルプランナー(FP)
「ファイナンシャルプランナー」は、資産運用やライフプランの設計など、お金に関する様々な知識を保有していることを証明する資格です。
金融業界への転職を考えている社会人女性はファイナンシャルプランナーを取得しておくことで、人材としての価値が高まるでしょう。1級〜3級までレベルが分かれており、1級を取得している人は転職だけでなく独立も視野に入れることができます。
こちらの資格も業界未経験であっても転職に有利に働くことが多いため、転職の成功率を高めたい人にはおすすめの資格と言えます。
- 勉強時間の目安:3級1ヶ月/2級3ヶ月/1級3ヶ月
- 受験料:3級6,000円/2級8,700円/1級8,900円
- 合格率:3級70%/2級840%/1級10%
証券アナリスト
「証券アナリスト」は、日本証券アナリスト協会が認定している民間資格です。証券投資情報の分析から、投資価値の評価、アドバイス、管理などができることを証明する高度なスキルの資格になります。
- 保険会社
- ファンドマネージャー
- リサーチアナリスト
など、データを元に証券の分析や評価を行う重要なポジションの資格です。
資格取得までには長時間かかるため、転職の際に資格を持っていると企業からの評価も非常に高くなります。金融業界で本気で成功したい人には最適な資格と言えるでしょう。
- 勉強時間の目安:24ヶ月程度
- 受験料:証券分析とポートフォリオ・マネジメント6,200円/財務分析3,100円/経済3,100円
- 合格率:証券分析とポートフォリオ・マネジメント50%/財務分析50%/経済53%
IT業界の転職に有利な資格
ここでは、ITに業界へ転職を考えている人におすすめの資格を紹介します。
CCNA(Cisco Certified Network Associate)
「CCNA」は、シスコシステムズの認定資格です。Ciscoルータ、Catalystスイッチに関する技術力の証明することができる資格で、世界的に圧倒的なシェア数を誇る技術に対する知識を明示することができます。
ネットワークエンジニアとして基本的なスキルを習得できるため、IT業界への転職にも有利に働くでしょう。
業界未経験の人が独学で勉強をしようとしても、分野の幅が広すぎるため困惑します。このような状況でもCCNAの学習をすることで、効率良く業界に対する基礎スキルを証明することができます。
- 勉強時間の目安:3ヶ月程度
- 受験料:42,120円
- 合格率:50%
医療業界のお転職に有利な資格
ここでは、医療業界への転職に有利に働く資格を紹介します。
医療事務検定
「医療事務検定」は、医療施設での受付、会計などの事務作業をする際に役立つ資格です。医療事務全般で有効な資格のため、社会人女性に人気の資格と言えるでしょう。
「安定した医療機関で働きたい」と考えている人にとっては最適な資格で、転職の際も資格保有者は優遇される傾向にあります。
医療施設は全国各地にあるため、希望に合った勤務地を探すことも比較的簡単と言えるでしょう。医療事務検定を持っておくことで、転職先の視野を広げることができます。
- 勉強時間の目安:3ヶ月程度
- 受験料:7,000円
- 合格率:60%
調剤事務管理士
「調剤事務管理士」は、薬局で薬剤師のサポートをするために必要な資格です。病院内で処方箋の受付から会計、各書類の作成などを担当します。
薬剤に関する知識があることを証明できるため、転職の際も有利に働くでしょう。医療施設同様、調剤薬局は全国各地にあるため勤務先選びで苦労したくない人にもおすすめです。
- 勉強時間の目安:1ヶ月
- 受験料:6,500円
- 合格率:60%
介護業界の転職に有利な資格
ここでは介護業界への転職に有利な資格を紹介します。
介護初任者研修
「介護初任者研修」は、介護士を目指す人には欠かすことのできない資格です。介護業界で働いていくには必須の資格で、キャリアアップや長期的に働いていきたい人にはマストな資格と言えるでしょう。
介護施設によっては、求人内容に「介護初任者研修保有者のみ」という条件がある場合もあります。介護業界が未経験の人であっても、転職に間違いなく有利になるので転職活動前に取得しておくと良いでしょう。
- 勉強時間の目安:4ヶ月程度
- 受験料:地方によって異なる
- 合格率:90%以上
アロマセラピスト
「アロマセラピスト」は、健康維持から医療、介護、スポーツの分野などで活用されている資格です。一見すると介護と関係のないように感じる人もいると思いますが、近年ではアロマセラピストの需要が高まってきました。
精油の専門知識、解剖生理学、皮膚科学の知識からトリートメント技術のスキルなどを習得できる資格になっています。専門的な知識を証明することができる資格のため、転職でも有利に働く資格と言えるでしょう。
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- 勉強時間の目安:1週間〜1ヶ月程度
- 受験料:6,480円
- 合格率:80%<
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飲食業界の転職に有利な資格
ここでは飲食業界への転職に有利に働く資格を紹介します。
調理師
「調理師」は、飲食店で調理を担当するために必要な国家資格です。学校給食、ホテルの料理長、寿司職人など飲食業界の幅広い仕事で必要とされています。他業界から転職する人も多い飲食業界では、調理師の資格を取得しておくことで内定獲得に有利に働くでしょう。
調理師を取得することで、飲食店全般で働くことができます。また下積みを経た後、自分の飲食店で独立をしたいという人には必須の資格です。
- 勉強時間の目安:1ヶ月程度
- 受験料:6,000円前後(都道府県によって異なる)
- 合格率:60%
メーカーの転職に有利な資格
ここではメーカーへの転職に有利な資格を紹介します。
インテリアコーディネーター
「インテリアコーディネーター」は、住宅の内装、設備、照明、ファブリックなど、インテリアのプロフェッショナルとして幅広い知識があることを照明できる資格です。
住宅メーカーはもちろん、家具メーカーやデザイン事務所など、様々な企業への転職で有利に働きます。女性の取得者が多いものの、キャリアアップを目指す男性にも最適な資格と言えるでしょう。
- 勉強時間の目安:4ヶ月〜6ヶ月程度
- 受験料:14,400円
- 合格率:25%
観光業界の転職に有利な資格
ここでは観光業界への転職に有利に働く資格を紹介します。
通訳案内士
「通訳案内士」は、日本に訪れる外国人観光客に対してガイドを務めるために必要になる資格です。資格を取得することによって、外国語で日本文化や歴史に関する情報を解説できることを証明できます。
日本に訪れる外国人観光客は増加傾向にあり、今後も増えていくことが予想されています。インバウンドビジネスが注目されている現在では、通訳案内士の資格保有者を積極的に採用する企業も少なくありません。
- 勉強時間の目安:2ヶ月〜5ヶ月程度
- 受験料:11,700円
- 合格率:15%
経理・事務職の転職に有利な資格
最後に経理や事務職への転職に有利に働く資格を紹介します。
秘書検定
「秘書検定」は、秘書になるために必要なビジネスマナーとスキルを有していることを証明できる資格です。検定内容は秘書だけでなくビジネス全般で役立つスキルになっているため、資格を取得することで社会人としての価値を高めることもできます。
ビジネスマナーや社会人としての基礎スキルを証明できる点では、女性だけでなく男性にもおすすめの資格と言えます。1級〜3級までレベルわけされていますが、転職で有利になりたいなら、2級は取得しておきましょう。
- 勉強時間の目安:1ヶ月程度〜3ヶ月程度
- 受験料:3級2,800円/2級4,100円/準1級5,300円/1級6,500円
- 合格率:3級・2級50%/準1級・1級40%
まとめ
今回は転職で有利になる「資格」について紹介しました。
転職活動で人材としての価値を上げることのできる資格は、各業界で数多くあります。事前に資格を取得しておくことで、応募企業の採用担当からも高評価を得ることができるはずです。
注意するべきポイントは「転職に有利になりやすい資格は難易度が高い」ということです。そのため、転職するために資格を取るなら計画性を持って勉強時間やスケジュールを組むことが重要になります。
計画を立てずに資格を取ろうとすると、転職時期とズレてしまう問題が起きてしまうでしょう。転職活動と資格取得を同時平行で進めていくには大きな労力と時間が必要です。
事前にしっかり計画を立てて、転職活動の際に有利に働く資格を取得してみてください。スキルや知識を証明できる資格は転職時に必ず役に立つでしょう。
などを事前に把握しておけば、計画的に資格を取って転職活動に活かせるはずです。