転職サイトの求人でよく見かける「未経験歓迎」という文字。未経験から新しい職種や業種にキャリアチェンジしたいという方も多く、未経験の転職者を受け入れてもらえる求人が分かりやすく表示されていると、転職先を選ぶときにも役立ちます。
しかし、未経験歓迎と謳っていても、実際の選考では経験者が優遇されたりと、企業の募集背景によっては、未経験だとなかなか選考を通過するのが難しいケースもあります。
そこで今回は、転職サイトの未経験歓迎の求人で内定を勝ち取るためのポイントをご紹介。「未経験歓迎」の言葉の意味や、未経験でも転職しやすい職種など、キャリアがなくても転職成功が叶うコツをまとめて解説します。
転職サイトの「未経験歓迎」求人とは何か
「未経験」には3つの種類がある
- 業種未経験者
- 職種未経験者
- 業種・職種ともに未経験者
と3つの意味があるのです。
例えば、これまで小売業の営業担当だった方が、今度は広告会社の営業担当を志望している、というようなことを、業種未経験者として扱います。
営業のスキルやノウハウはすでにあるため、その業界ごとのやり方や知識を覚えることができれば、即戦力として働くことができます。
同じ広告系の仕事でも、営業職からコピーライターに転職したい場合には、職種未経験となります。
業界知識があるため、一から研修を行う必要はありませんが、転職する職種によっては、新たにスキルや資格を習得しなければならない場合もあります。
業界の知識やスキルが足りない場合も多いため、転職後に研修が行われることも多くあります。
このように、同じ「未経験歓迎」でもそれぞれ意味が異なるため、
と安易に応募してしまうと、書類選考で落とされてしまうことも。
企業が未経験者歓迎の求人を出す理由
企業が転職サイトに未経験者歓迎の求人を出す理由はさまざまです。
以下、企業が未経験者歓迎の求人を出す主な理由です。
- 経験者があまり多くない職種の募集をしているから
- 企業のこれまでの慣例にとらわれない新しいアイディアを求めているから
- 未経験の若手を獲得してリーダーとして育成をしたいから
- 企業風土になじみやすく、柔軟性のある人材を求めているから
- 求人を出してもなかなか採用が決まらないから
- 人手不足のため経験者・未経験者問わず採用を行いたいから
「若手を獲得して育成したい」や「有資格者を獲得したい」などといった求人は福利厚生や業務内容を確認した上で問題なければ応募しても良いと言えます。
特に大量募集や派遣などの求人に多い傾向があり、給与が低かったり、残業が多かったりと、他の転職者が応募しないような、ブラックな求人が混ざっている場合もあります。
未経験からでも転職しやすい職種・業種とは
どんな仕事でも未経験者を募集できるという訳ではなく、職種や業種によっても未経験歓迎の求人を出している割合が異なります。
まずは業種未経験者歓迎の割合が多い業種を見ていきましょう。
出典:マイナビ転職
マイナビ転職が2017年11月に行った調査によると、業種未経験でも転職できる業種の割合は、
- 運輸・交通・物流・倉庫
- 商社
- 流通・小売・フード
- サービス・レジャー
の4つの職種が90%以上という結果に。
一見するとバラバラなようにも思えますが、運輸や交通、商社、小売、サービス、とどれも人と関わる割合が高い仕事であるため、人間性やポテンシャル重視で採用を行っていると言えるでしょう。
運輸や交通は専門性が高く、未経験では難しいと思われがちですが、その分教育体制が整っており、未経験からでも新人を育成することができるため、未経験者でも採用されるチャンスが高くなっています。
次に職種です。
出典:マイナビ転職
- 美容・ブライダル・ホテル・交通
- 販売・フード・アミューズメント
- 技能工・設備・配送・農林水産 他
- 保育・教育・通訳
こちらの4職種が90%以上という結果になっています。
未経験歓迎の求人はキャリアチェンジのチャンス
求人に「未経験歓迎」と書かれていても、
と不安になってしまいがちですが、新規事業の拡大や、人手不足解消など、企業側のさまざまな事情から、未経験者を積極的に採用しようと考えている企業も増えています。
特に、「専門性が高そう」と思って敬遠しがちな技能工や交通などの分野では、専門性が必要な職種や業種だからこそ、担い手が少なく、未経験者を採用し教育を行うことで、人員を補填しようと考えているところも多いと言えます。
必要なスキルは働きながら学ぶことができるため、手に職をつけたいという方にもおすすめです。
未経験者歓迎の求人で内定を勝ち取るためのコツ
「未経験」だからこそ自己PRが大切
業種未経験の求人に関しては、これまでの業務内容が重視されるケースもありますが、職種未経験や業種・職種ともに未経験である場合、前職の業務内容が役立てられないケースがあるからです。
未経験歓迎の求人の内定を勝ち取るためには、
- 仕事に対する姿勢
- 仕事に対する意欲
- 前職での実績と具体的なエピソード
など、業務内容よりも「考え方」を意識し、仕事に対してどんな考え方をして、どのように取り組んできたのかを具体的に伝え、自分の強みや意欲をアピールしていくことが大切です。
選考に通過するためのポイント
選考に通過するためのポイントは大きく分けて5つあります。
- 企業の募集背景を読み解く
- 自分のスキルやキャリアを整理する
- 志望動機を明確にする
- 利用する転職サイトを見直す
- 転職エージェントに相談する
1つずつチェックしていきましょう。
1.企業の募集背景を読み解く
これまでに紹介してきましたが、企業側が未経験者の募集を行う背景はさまざまです。
背景を読み解いた上で、
を考えることが大切です。
企業の募集背景を読み解くためには、
- 企業分析を行うこと
- 求人の募集要項や福利厚生を確認すること
この2つが必要となります。
まず、企業分析です。
転職会議やエン転職などでは、実際に働いた人からの口コミが掲載されているため、こういった口コミ情報から、企業の評判を確認することも大切です。
出典:転職会議
「未経験歓迎」と謳っていても、「経験者優遇」と記載されていることもあります。
この場合、本当は経験者をとりたいけれど、人員確保のために未経験者まで募集の幅を広げている可能性もあり、企業は即戦力として採用を考えているケースもあります。
たとえば、人事未経験者でも、
- 飲食店のエリアマネージャーとして、○人のスタッフの採用と教育を行ってきました。
と、人事に関連する業務をアピールすることで、未経験でも採用される確率を上げることができます。
2.自分のスキルやキャリアを整理する
未経験者歓迎の求人であっても、誰でも採用されるというわけではなく、企業が採用するメリットがあるかどうかが選考のポイントです。
たとえば、営業経験がない方でも、
求人情報サイトの作成担当として、クライアントの要望をヒアリングし、求人広告の作成を行っていました。取引先の担当者から提示された企業情報だけでなく、実際に企業まで足を運び、職場の雰囲気や現場の声など、生の意見を取り入れることで、募集人数を増やし、クライアントからも高い評価を得ることができました。
営業経験はありませんが、現在の業務経験を活かし、クライアントのニーズをくみ取り、情報をしっかりと引き出すことで、営業へと繋げていきたいと考えています。
3.志望動機を明確にする
企業側は転職者がどういった考えで仕事に向き合っているのかを知りたいと思っています。
前職を辞めてまで転職するからには、それなりの理由があると考えるため、志望動機が重視される傾向にあります。
転職理由が
- なんとなく今の仕事に向いていないと思った
- こっちの仕事が楽しそうだったから
だと、仕事に対しての向き合い方が問われ、不真面目な印象を持たれることもあります。
そのため、志望動機を明確にすることが大切となるのです。
単に、
- 人事の仕事に興味を持ったから
と言うよりも、
前職で営業のチームのリーダーとして業務を任されていた際、チームのメンバーの指示だしや教育面で悩んだ時期がありました。その時、人事の担当者に相談に乗ってもらったのがきっかけで、コミュニケーションをとることの大切さを知り、チーム全体の目配りを行うことができました。
その経験から、今後はチームだけでなく、新人の教育や採用に携わりたいと考え、志望しました。
今一度、なぜ転職をしたいと思ったのかを整理しておくと、志望動機もスムーズに作成することができるでしょう。
4.利用する転職サイトを見直す
なぜなら、転職サイトによってそれぞれ特徴があり、未経験者向けの求人が多い転職サイトもあれば、ハイクラス向けのキャリアアップが叶う転職サイトもあるからです。
未経験者向けの転職サイトを選ぶときのポイントとして、
- 大手総合転職サイト
- 20代、第二新卒向けの転職サイト
の2つのタイプの転職サイトを見ることをおすすめします。
マイナビ転職などの大手総合転職サイトは、総合的にあらゆる職種や業種をおさえており、事業拡大を目指す大手企業や、未経験の若手を育成しようとする企業など、未経験者の求人も多く掲載されています。
また、Re就活などの20代や第二新卒、既卒向けの転職サイトでは、総求人数は少ないものの、キャリアが浅い20代や、就業経験のない第二新卒や既卒などの採用を積極的に行う企業が多いのが特徴です。
第二新卒や既卒向けの転職サイトという特色上、募集をしている企業側も未経験者やキャリアがあまりない転職者を想定しているため、未経験者でも選考に通りやすいというメリットがあります。
中には、書類選考がなく選考に進めたりと、これまでのキャリアを問わず、ポテンシャルに期待して採用を行う企業もあるため、経歴やスキルに自信がないという方にはおすすめです。
という方は、未経験者向けの求人が多い転職サイトで、自分に合った職種や業種を見つけることも1つの手だと言えます。
転職サイト | 公開求人数 | 未経験者歓迎の求人数 |
---|---|---|
リクナビNEXT | 40,209件 | 12,857件 |
type | 2,323件 | 1,012件 |
エン転職 | 5,562件 | 4,422件 |
マイナビ転職 | 13422件 | 9,941件 |
はたらいく | 3,195件 | 2,289件 |
Re就活 | 1,052件 | 652件 |
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5.転職エージェントに相談する
転職エージェントでは、専任のコンサルタントから転職面談や面接対策などの転職支援を受けることができます。
そのため、
- 職務経験がなく自分の仕事上の強みが分からない
- どう面接でアピールしていいのか分からない
といった悩みを抱えている方でも、専任のコンサルタントに相談しながら転職活動を進めることができるため、自分の適性に合った転職先を見つけることが可能です。
また、転職エージェントの中にも、未経験の転職に強い、第二新卒、既卒向けのサイトがいくつかあります。
20代向けのサービスが多いものの、アルバイトやフリーターの経験しかなくても転職が可能な求人が多く、専任のコンサルタントに転職支援を受けることができるため、未経験でも転職成功率が高い傾向にあります。
「未経験」から転職するにはリスクもあると理解しておく
経験者と未経験者が求人に応募した場合、多くの企業では経験者を優遇することが多く、未経験だとなかなか転職が決まらないこともあります。
転職サイトの「未経験歓迎」求人に関わるQ&A
Q1.30代で未経験での転職は難しい?
20代の転職だと未経験でもポテンシャルで採用されるケースも多いですが、30代以上になると、企業の中でも中堅としての役割が求められるため、即戦力を求められる可能性が高くなります。
- 資格が必要な職種・業種であれば、資格を先にとっておく
- 業界の知識をあらかじめ収集しておく
- 職業訓練校などでスキルを習得する
など、転職前にしっかりと準備を行っておくことで、未経験からでも転職が成功しやすくなります。
Q2.未経験から高年収を狙うことはできる?
未経験からの採用となると、実際に働いてみないと転職者のスキルや実力をはかることができないため、転職後すぐの給与は低くなる傾向にあります。
特殊な資格が必要な技能工や医師、看護師などの専門職は比較的高い傾向にはありますが、転職後の基本給は低めに設定されているのがほとんどです。
まとめ
転職サイトの未経験歓迎の求人には3つの種類があります。
- 業種未経験者
- 職種未経験者
- 業種・職種ともに未経験者
そして、未経験だからと言って誰でも採用されるわけではありません。
スキルや経験が重視されない分、自分の強みや考え方を整理した上で、企業の採用担当者に「一緒に働きたい」と思ってもらえるよう、アピールすることが何よりも大切だと言えます。
選考に通過するためにも、
- 企業の募集背景を読み解く
- 自分のスキルやキャリアを整理する
- 志望動機を明確にする
- 利用する転職サイトを見直す
- 転職エージェントに相談する
職種や業種によっても、未経験者に期待するものがそれぞれ違います。
は、今回の記事を参考に、転職サイトを利用して、転職成功へと導きましょう。