はじめての転職の際、どのような服装、身だしなみをすれば良いのか分からず悩んでしまう人は多いです。しかし、最低限の要点さえ覚えておけば、そこまで服装・身だしなみに苦労することはありません。
ここでは、
- 転職面接における服装の重要性
- 面接でスーツを着用する際のポイント
- 面接でスーツ以外を着用する際のポイント
- 業界別の服装と身だしなみ
について詳しくご紹介します。面接の際に着用すべき服が分からない、正しい身だしなみを知りたい方は是非目を通してみて下さい。
面接では服装と身だしなみが重要
服装次第で合否が左右されることも
面接官は応募者の服装から「ビジネスマナーを心得ているか」、「TPOを意識した服装・身だしなみが出来るか」、などの情報を読み取っています。
そのため、例え服装自由の面接でもカジュアルなデニムパンツ、派手な柄のシャツなどを着用してしまうと、一気に面接官の心証が悪くなってしまうのです。
詳しくは後述しますが、基本的に堅い服装が好まれる金融業界、公的機関などではその傾向が強く、面接担当者によっては「スーツのフラップが出ていたから落とした」というケースもあります。
どうして服装や身だしなみが重視されるの?
なぜ面接官は、応募者の服装や身だしなみを重視するのでしょうか。理由は先に挙げた「ビジネスマナーの有無の確認」、「TPOを意識できるかチェックしたい」以外にも存在します。
面接官が服装・身だしなみを重視する背景には、
- 清潔感の有無を確認したい
- 服装の乱れから性格かルーズかどうか知りたい
- 詰めの甘い人ではないか見抜きたい
などの理由が存在します。特に飲食系などサービス業の場合、服装や身だしなみが乱れているのは最悪で、「一目見た瞬間すぐに不採用を決めた」という話もよく耳にします。
面接でスーツを着用する際に抑えておきたいポイント
男性の場合
スーツの着こなし
転職面接の際は黒、もしくはネイビー、グレーなど「派手ではない定番色のスーツを着用」するようにしましょう。ベージュ、ブルーなどの「明るい色のスーツは面接官に悪い印象を与えてしまう」ことがあります。
また、柄物のスーツはどこの企業でも好まれません。控えめなストライプ柄程度であれば許容範囲ですが、基本的には無地のものが良いです。
転職面接時のスーツの着こなしでよく話題に上る「2ピースが良いか」、「3ピースが良いか」という問題です。どちらが良いかは諸説ありますが、厳密に言えばどちらでも構いません。
むしろ、注目しておくべきなのは「スーツの型」です。最近目にする機会が増えてきたダブルのスーツは、本来シングルのスーツよりもフォーマルな装いですが、面接では面接官の心証を悪くする傾向にあります。
以上の注意点を踏まえた上で、しわや汚れのないクリーニングしたてのスーツを着用すれば、服装を見られても面接官の心証が悪くなることはありません。
シャツの着こなし
ジャケットの中に着込むシャツの着こなしで注意しておきたいのは、
- 柄物ではなく白のシャツを着る
- ボタンダウンのシャツを着用しない
- 白の肌着の上からシャツを着る
- 袖口や首元に汚れの無いものを着用する
- 袖ボタンをしっかり留め、スーツの袖から1cm程度出す
の5つです。特に注意しておきたいのは、「ボタンダウンのシャツを着用しない」という点です。一見フォーマルに見えるボタンダウンシャツは、本来カジュアルな場面で着用するものです。
小物の使い方
スーツとシャツの着こなしが分かったところで、最後に小物の使い方を確認しておきましょう。注意しておくべき点は多いですが、小物の使い方の正誤は面接官の心証を大きく左右します。
- ネクタイはシンプルな柄かつ派手過ぎない色のものを着用する
- ベルトは革製のもので経年劣化が見られない黒、もしくはブラウンのものにする
- 靴はきちんと手入れをしたストレートチップ、プレーントゥなどのフォーマルなものを履く
- かばんは自立可能なマチのあるもので、A4サイズの書類が入るダレスバッグ、ブリーフケースを推奨
- ベルトと靴、かばんの色は合わせる
- 靴下は明るい色ではないスーツの色に合ったものを履く
- 腕時計は必ず着用し、可能であれば白文字盤かつレザーバンドのものにする
女性の場合
スーツの着こなし
女性の場合も男性同様、
- 黒・紺・グレーなど暗色のスーツを着用
- 派手な柄の入ったものを着ない
- きちんとクリーニングしたものを着る
- 2つボタンのジャケットは上だけ、3つボタンのジャケットは真ん中だけボタンを留める
などの注意が必要です。それに加えて、
- パンツルックでは極端なスリットが入ったものを着用しない
- 丈が短すぎる、長すぎるパンツを着用しない
- スカートは膝にかかる程度のものを着用する
などの点も抑えておきましょう。パンツルックかスカートかで悩む人は多いですが、パンツルックは営業など動き回る職種を希望する方に、スカートは事務職、会計職などを希望する方におすすめです。
シャツの着こなし
女性の場合は、男性に比べて若干カジュアル色の強いものでも構いません。具体的には「白シャツの代わりに白のカットソー」などは転職面接の際でも着用可能です。
小物の使い方
女性がスーツで面接に赴く際に気を付けておきたい小物の使い方は、
- 靴はヒールが低い暗色のパンプスを着用
- かばんは、A4サイズの書類を入れることが出来て自立するバッグを使う
- ベルトは着けても着けなくてもどちらでも良く、着ける場合は革製のシンプルなものに限る
- ストッキングはベージュのみで、黒のストッキングは控える
- 時計は必ず着用する
- ネイルはしない
などです。小物の使い方はほとんど同じですが、業種によっては許される小物使いの範囲が広がる場合もあります。
業種で左右されやすいのはネイル、アクセサリー、小物ではありませんがメイクなどです。アパレル系の職種を希望している場合はネイル、アクセサリーで個性を主張しても良い場合があります。
逆に金融業界、公的機関への転職を目指しているのならネイルはトップコートすらNGです。アクセサリーも結婚指輪や婚約指輪以外推奨されないことがほとんどです。
リクルートスーツはNG?
基本的に転職の際にリクルートスーツを着るのは推奨されません。理由は「大学生の就活服というイメージが強い」、「社会経験のある人が着るのは不適切」などです。
「転職面接の際の身だしなみ、特に小物の使い方には細かなテクニックがあります。すべて覚えるのは大変ですが、しっかりと学んで失礼のない服装で面接を受けましょう。」
面接でスーツ以外を着用する際に抑えておきたいポイント
服装自由と言われたら?
最近はスーツではなくビジネスカジュアルを仕事着として導入している企業が増えています。転職面接においては「服装自由」と言われた際に着用することが多いです。
アパレル業界などは例外ですが、基本的にスーツ以外の服装で面接に赴く際の服装はビジネスカジュアルだと考えて間違いありません。
性別に関わらず、Tシャツにデニムなどカジュアルな服装では、確実に面接官から好ましくない評価を受けてしまいますので注意しましょう。
男性の場合
ビジネスカジュアルの着こなし
ビジネスカジュアルで面接に臨む際は、
- セットアップではなくジャケットとパンツを別で揃える
- パンツはスラックスもしくはチノパンで、デニムは着用しない
- インナーは派手過ぎないシャツを着用
- 面接ではしっかりネクタイを着ける
の4点を抑えておきましょう。ビジネスカジュアルの幅は広く、チェックシャツやノーネクタイが許される場合もありますが、転職面接の際は派手過ぎないシャツとネクタイを着けるのが無難です。
ビジネスカジュアルにおける小物の使い方
ビジネスカジュアルになると小物の使い方も若干変化します。以下にビジネスカジュアルにおける小物の使い方をまとめましたので、チェックしてみて下さい。
- 靴とベルトの色は統一、かばんは別の色でも構わない
- 靴はローファー、モンクストラップなどカジュアル色の強いものでも可
- 黒文字盤、ゴールドケース、メタルバンドの腕時計でも良い
- 冬はセーター、カーディガンを着用しても良い
- ビジネストートなどカジュアル色の強いかばんを使っても良い
スーツの際との違いは以上になります。実際にビジネスカジュアルを導入している企業で働く際はもう少し小物使いの幅が広がります。しかし、面接の際は比較的フォーマルなビジネスカジュアルの方が良いでしょう。
女性の場合
ビジネスカジュアルの着こなし
男性に続いて女性のビジネスカジュアルの着こなしも見てみましょう。
- ジャケットは必ず着用
- パンツ、スカートはどちらでも良い
- 控えめなフリル、レースのついたシャツ、白もしくは淡色のカットソーが好まれる
- デニム素材、派手なTシャツはNG
- 派手な色は使用しない
男性に比べて女性のビジネスカジュアルの幅は広く、ほぼ私服のようなスタイルでも許されることがあります。
しかし、それは実際に働き始めてからの話です。転職面接の際は派手な色は使わず、フォーマル色の強い服装にまとめましょう。
ビジネスカジュアルにおける小物の使い方
- アクセサリーは結婚指輪、時計のみ
- ベルトを着用する場合はレザー素材のものを使う
- 冬はセーター、カーディガン等を着込んでも良い
- ストッキングは黒ではなく肌色のものが好ましい
- かばんはややカジュアルなものを使用しても良い
ビジネスカジュアルと言っても、小物の使い方が大きく変わるわけではありません。基本的にはスーツの時と同様派手なものは着用せず、落ち着きのある着こなしを心掛けましょう。
また、小物ではありませんが、ビジネスカジュアルで面接に赴く場合、トップコート程度であればネイルをしていっても構いません。色をつけるのは面接官の心証を悪くしかねないので控えましょう。
「面接はスーツで受けるもの、という印象は未だ根強いです。そのため、服装自由といってもフォーマルな服装をした方が面接官の印象も良くなります。オフィスでは許される格好が面接では許されないケースは少なくありません。」
「ビジネスカジュアルで面接を受ける際はスーツと比べて、
男性は、
- ジャケットとパンツを別で用意する
- 白、淡色、もしくは控えめな柄のシャツを着用する
女性は、
- ブラウスではなく派手ではないカットソーを着る
- ベージュなど派手ではない淡色の服を着用する
この程度の差に留めておくと良いでしょう。」
業界別の推奨される服装と身だしなみ
金融業界・公的機関の場合
所謂「お堅い職種」と言われる銀行・証券・保険などの金融業界、公務員などの公的機関への転職を考える場合は、スーツで面接へ赴くのが望ましいです。
また、金融業界や公的機関への転職を考える際は腕時計や靴、かばんなどの小物にも気を配りたいです。
具体的には、
- 腕時計は白文字盤かつ靴、ベルト、かばんと同色の革ベルトのものを着用
- 靴はストレートチップのものを履く
- かばんはダレスバッグもしくはレザーのブリーフケース
などです。堅い職種と言われるだけあり、これらの業界では小物の使い方ひとつひとつにまで目を向けられます。小さな綻びが面接の合否を左右することも珍しくないので、小物の使い方には充分注意しましょう。
アパレル業界の場合
アパレル業界への転職を目指すのなら、服装でも自分をアピールしておきたいところです。
一例ではありますが、男性の場合は他の業界で許されるビジネスカジュアルと比べて、
- ジャケットの中に無地のTシャツを着こんでも良い
- 柄のあるジャケット、シャツを着用できる
- デニムを履いても良い
などの違いがあります。
女性の場合は、
- 控えめであればアクセサリーを着用しても良い
- パステルカラーを採用できる
- 柄のあるアイテムを使っても良い
などです。販売員やデザイン職への転職を目指す際は特に服装を重視されますから、カジュアルになり過ぎないよう気をつけつつも、自分を売り込めるような服装で面接に臨みましょう。
その他の業界
金融業界などは堅い職種の、アパレル業界は緩い職種の代表例と言えます。では、その他の業界ではどのような服装や身だしなみをするのが望ましいのでしょうか。
業界別に好まれる服装、身だしなみをまとめたので、参考にしてください。
堅い業界
- 非常に硬い/銀行、公的機関、ホテル業
- 堅い/証券会社・保険会社・投資銀行
これらの堅い業界では、細部までビジネスマナーが徹底されたスーツスタイルが好まれます。前述の通り小物使いは特に厳しくチェックされるので、充分に注意をしておきましょう。
また、これらの職種へ転職を希望するのなら、スーツの色にも気を配っておきたいです。金融機関の営業職は、お客様に威圧感を与えかねない黒のスーツを着用しません。
そのため、面接の際も黒のスーツは印象が悪くなりがちです。面接へ赴く際は紺や濃いグレーなどのスーツを着用しましょう。
普通の業界
- やや堅い/インフラ系、不動産関連業、エネルギー、製薬会社
- どちらとも言えない/食品関連、メーカー、情報・通信
- やや緩い/商社、旅行業、出版社、介護職
基本的にはスーツの着用がおすすめです。堅い業界との違いは、
- 淡色であれば明るい色のネクタイをつけても良い
- フォーマルであればナイロン素材のバッグを持っても良い
- 女性の場合淡色のシャツを着用可能
などです。堅い業界に比べると多少の自由は効きますが、あくまでフォーマルな、どこに行っても恥ずかしくない服装で面接に臨みましょう。
緩い業界
- 緩い/広告業、テレビ局、ラジオ局、IT関連
- とても緩い/アパレル、映画関連、ゲーム業界
ここからは服装規定が緩く、私服での勤務もありえる業界になります。業界や企業によっては堅いスーツスタイルで面接へ赴くと「堅すぎて自社とは相性が良くない」と判断するケースも少なくありません。
なので、面接はスーツではなくビジネスカジュアルで受けましょう。ただ、アパレル業界などセンスを問われる職種を除き、不必要に自己主張をする必要はありません。
「自分はTPOや企業風土にあった着こなしが出来る」とアピールできれば充分です。
まとめ
ご紹介したように、面接にふさわしい服装は業界や企業、果ては面接官の好みによって変わります。しかし、基準から大きく逸脱しない限り、面接の合否に響くほどのマイナスポイントとはなりません。
重要なのは、
- 清潔感のある服装かどうか
- 入社後を見据えたビジネスシーンにあった服装かどうか
- 企業の風土にあった服装かどうか
ということです。転職面接において服装は第一印象を大きく左右します。第一印象が悪ければその時点で不合格を決められることもありますから、服装や身だしなみには徹底的にこだわりましょう。