転職において「年収」がいくらであるかは大きな問題です。できる限り前職と同等か、それ以上の年収を貰いたいという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、転職で年収を上げるための年収交渉のポイントをご紹介します。
転職の年収交渉はやるべき?やらないべき?
転職の年収交渉は基本的におこなってOK
業務内容や環境などが良くても、提示された年収が前職よりも低かった・・・となると、転職を躊躇してしまう方も多いのではないでしょうか。
しかし、年収や月給などの給与面の話はなかなか企業にはしづらい問題です。下手に年収交渉を行うことで、企業からのマイナスイメージがついてしまうのを避けたいと考えている転職者も多くいます。
出典:マイナビ転職
マイナビが1年以内に転職経験のある全国の男女20から39歳を対象に行った2017年のアンケート調査では、76.9%が希望年収の質問への答えは選考結果に影響すると思うと回答。
しかし、エン ミドルの転職で2018年に行った転職コンサルタントの調査では、年収交渉はした方が良いと回答したのが全体の33%、場合によってした方が良いと回答したのは63%という結果に。
理由として、
- スキルに見合った年収はもらうべき
- キャリアを正当に評価してもらうためには交渉も必要
など、転職者のスキルやキャリアごとに年収は見直すべきという声が多く挙がっています。
企業が最初に提示している給与額は、募集している役職や業務内容に応じて決められたものであり、社内の給与形態などを考慮して決められたものにすぎません。
企業によっては、
- やる気や魅力がより伝わった
- 社内全体の給与制度の見直しにもつながった
- 優秀な人材を他の企業にとられる前に採用することができた
など、転職者から年収交渉を受けることでメリットがある場合もあります。
ただし、間違った年収交渉をしてしまうことで、企業の担当者からマイナスイメージを持たれることもあります。
年収交渉でよくあるNG例
ここからは年収交渉でよくあるNG例を5つご紹介します。
1.焦って年収交渉を進めようとする
焦りが伝わることで、担当者からガツガツした印象を持たれてしまいます。
2.業界の年収相場を理解していない
業界によって、年収相場は異なるものです。
「今、500万円もらっているから、転職後は600万円もらいたい」と安易に年収を考えてしまうと、年収相場から大きくはずれてしまう可能性があります。
3.根拠のある希望年収を提示していない
よくあるケースが、前職と同等の年収は無条件で貰えると思ってしまうことです。
前職の年収はあくまで参考でしかなく、企業側が知りたいことは、自分の企業でどのくらいの結果を出してくれるのか、というところにあります。
4.希望年収額を途中で変更してしまう
よく、転職者の中に
という方がいますが、希望年収額が一貫していないことで、「面接では適当に表面的に答えていた」とマイナス評価につながってしまうこともあります。
企業側が面接や書類選考時点で希望年収について尋ねる場合、選考をしていく段階から前向きに年収を検討していることがあります。
つまり、内定時に提示される年収額が選考段階で決まるため、面接時に答えた希望年収によって最終的に提示される年収が確定するということです。
5.前職の年収を偽ってしまう
中途採用の求人の中には、前職の年収を考慮する企業も多くあります。これは、前職よりも待遇をよくすることで、優秀な人材を獲得しようとする狙いがあります。
企業側は前職の年収を考慮して期待値として年収交渉に応じます。
最悪の場合内定取り消しも
年収交渉はしてもOKですが、年収交渉に失敗してしまうことで、逆に年収が下がってしまったり、最悪の場合内定の取り消しになってしまうこともあります。
年収交渉は、企業側と転職者が業務内容のすり合わせを行う場です。
転職の年収交渉を成功に導く3つのポイント
ポイントは「事前準備」「タイミング」「伝え方」
- 事前準備
- タイミング
- 伝え方
それぞれのポイントを詳しく解説します。
事前準備
事前に希望年収や業界分析を行うことで、要点がまとまり、落ち着いて年収交渉を行いやすくなります。
また、事前準備をすることで、年収交渉だけでなく、書類選考や面接などの選考にも役立ちます。
1.企業研究をしておく
企業のこれまでの実績からあまりにかけ離れた年収額を提示しても、希望通りの年収を貰うことは難しくなります。
将来性が見込める企業であれば、年収が上がる見込みもその分高くなります。また、将来の事業に関して、自分が活躍できるかどうかを判断することも大切です。
2.業界の年収相場を知る
業界によって年収が大きく異なります。年収相場について調べることで、現職の年収や転職先で提示されている年収が適正額かどうかを知ることができます。
適正年収よりも大きく上回っている場合にはそれ以上の年収アップはなかなか難しくなりますが、大幅に下回っている場合、年収交渉の余地があります。
dodaでは職種や年代を選択して平均年収を簡単に検索することもできます。
→転職サイト選びにも使えるおすすめ転職サイトの記事はこちら。
3.自己分析を行う
提示金額よりも高い年収で採用するからには、企業側にも採用することで得られるメリットが必要です。
「未経験だけどやる気はあります!」
「御社の利益に貢献します!」
タイミング
企業によって、選考の進め方や年収交渉のタイミングが異なります。
1.転職サイトや履歴書の希望年収欄の記入を行う
企業によっては、書類選考の段階で、年収についての見直しを行うところがあります。
また、書類にきちんと記入しておくことで、面接や最後の人事面談などの際に年収交渉の話がスムーズに進められる場合も。
2.面接では基本的に自分からは聞かない
企業側がまだ採用するかどうかを確定していないタイミングで聞いてしまうと、どんなに志望理由で業務内容や企業理念の魅力について語っていても、結局は給与面や待遇面しか見ていないと判断されてしまう可能性があります。
ただ、面接の中で
- 年収についての希望はありますか?
- 前職の年収はどれくらいでしたか?
など、年収について聞かれる場合があります。
3.最終面接後に人事面談が行われることも
最終面接後に内定者として人事面談が行われるところもあります。
伝え方
企業の担当者も1人の人間です。たとえ、転職理由がお金であったとしても、それを直接伝えたり、自分の主張ばかり通そうとしてしまうと、採用しようとする意欲がなくなってしまいます。
1.実績などを根拠にプレゼンを行う
事前準備で企業分析や自己分析を行って導き出した根拠やメリットに基づいて、希望額を伝えることで、企業の担当者を納得させることが重要と言えます。
2.最低限の額と理想額を伝える
いきなり希望する年収額を伝えてしまうと、企業側も年収の検討をしづらくなってしまいます。
年収交渉を行ったとしても、なかなか希望通りの年収はもらえないもの。交渉を行っても、希望年収額よりも少し下がることを想定することが大切です。
そのため、
- 最低限の年収額
- 現実的な年収額(希望年収額)
- 理想的な年収額
をそれぞれ考え、企業側には最低限の年収と希望年収額よりもちょっと高めの理想的な年収額、そして最後に希望年収額を妥協案として伝えることがポイントです。
3.一方的にならずに冷静に行う
そのため、話をスムーズに進めるためにも、仕事に対する強い熱意を伝える前置きをした上で、年収や待遇面の話に持っていくことが重要です。
と前置きして切り出した上で、
と年収交渉へと話をもっていくと、不躾な印象にならず、交渉を進めることができます。
- 前職の年収
- 今後活躍できるメリット
- 他に内定をもらっている企業がある
など、伝えたいポイントをまとめた上で、慎重に話を進めていくことが大切です。
年収交渉に自信がないときは・・・転職エージェントの利用も検討
ここまで自分で年収交渉を行う方法についてご紹介してきましたが、
「入社前だから印象を悪くしたくない・・・」
「お金の話はなかなか切りだしにくい・・・」
など、自分からなかなか年収交渉を行えない方も多くいます。
しかし、金銭面の問題は、入社後の生活にも大きな影響を与えてしまう可能性もあるため、早めに解決しておくことが重要です。
転職エージェントでは、
- 転職の悩み相談
- 求人紹介
- 履歴書・職務経歴書などの提出書類の添削
- 面接対策
- 面接日の日程調整
- 内定後の年収交渉
など、さまざまな転職支援を受けることができます。
転職エージェントは業界知識や年収相場なども把握しており、転職者と企業の間に入って、双方の条件のすり合わせを行ってくれるため、年収交渉が上手くいきやすいというメリットがあります。
実際に、エン ミドルの転職が行った調査では、転職エージェントが年収交渉を行い、約97%が年収アップに成功したという結果が出ています。
また、直接的な年収交渉を行ってもらえるだけでなく、受ける企業にあわせた自己PRの仕方や面接対策なども行ってもらえるため、企業側にも転職者のスキルや魅力が伝わりやすく、最初に提示された時よりも良い条件でオファーが来る場合もあります。
企業側と転職者の双方が納得できる交渉を
企業側も採用して実際に働いてもらわないことには、転職者の能力を完全にははかることができません。そのため、年収交渉に応じるということは、企業側もそれなりにリスクを背負っています。
まとめ
しかし、ただ一方的に自分の希望を押し通して年収アップをはかろうとすると、企業側にかえって悪い印象を与えてしまうこともあります。
- 事前準備
- タイミング
- 伝え方
3つのポイントをおさえた上で、実績や自己の強みに基づいた上で、自分のキャリアや価値に見合った年収を提示することが何よりも重要です。