転職の年収交渉を成功に導く3つのポイント。年収交渉でよくあるNG例から成功率を確実に上げる交渉術までまとめて解説

転職において「年収」がいくらであるかは大きな問題です。できる限り前職と同等か、それ以上の年収を貰いたいという方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、転職で年収を上げるための年収交渉のポイントをご紹介します。

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慣れない面接や人事との面談でやってしまいがちな年収交渉のNG例や、確実に年収交渉に成功できる交渉術までまとめて解説するので、転職で年収を上げたいと考えている方は必見です。

転職の年収交渉はやるべき?やらないべき?

転職の年収交渉は基本的におこなってOK

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企業からの印象が気になって年収交渉ができない・・・年収交渉はやるべき?やらないべき?
teacher
年収を上げたいという方は、年収交渉は行ってもOKです。ただ、間違った方法で年収交渉をやってしまうことで、逆に不利益になることもあります。

業務内容や環境などが良くても、提示された年収が前職よりも低かった・・・となると、転職を躊躇してしまう方も多いのではないでしょうか。

しかし、年収や月給などの給与面の話はなかなか企業にはしづらい問題です。下手に年収交渉を行うことで、企業からのマイナスイメージがついてしまうのを避けたいと考えている転職者も多くいます。

出典:マイナビ転職

マイナビが1年以内に転職経験のある全国の男女20から39歳を対象に行った2017年のアンケート調査では、76.9%が希望年収の質問への答えは選考結果に影響すると思うと回答。

約8割が自分が本当に希望している年収を伝えることに躊躇しているという結果が出ています。

出典:エン ミドルの転職「転職コンサルタントの本音」

しかし、エン ミドルの転職で2018年に行った転職コンサルタントの調査では、年収交渉はした方が良いと回答したのが全体の33%、場合によってした方が良いと回答したのは63%という結果に。

逆に年収交渉をしない方がいいと答えたコンサルタントは全体の4%ほどで、多くのコンサルタントが年収交渉をしても良いと考えていることが分かりました。

理由として、

  • スキルに見合った年収はもらうべき
  • キャリアを正当に評価してもらうためには交渉も必要

など、転職者のスキルやキャリアごとに年収は見直すべきという声が多く挙がっています。

企業が最初に提示している給与額は、募集している役職や業務内容に応じて決められたものであり、社内の給与形態などを考慮して決められたものにすぎません。

そのため、年収が業界の相場よりも低くなっている場合もあるのです。
そういった相場観のズレや企業からの期待値をはかるためにも、年収交渉を行うことで年収を上げられる機会を得ることが重要となります。

企業によっては、

  • やる気や魅力がより伝わった
  • 社内全体の給与制度の見直しにもつながった
  • 優秀な人材を他の企業にとられる前に採用することができた

など、転職者から年収交渉を受けることでメリットがある場合もあります。

つまり、年収交渉を行うことで必ずしもマイナス評価になるわけではなく、企業側や転職者にとってのメリットにつながることもあるため、年収交渉を行うこと自体は悪いことではないと言えます。

ただし、間違った年収交渉をしてしまうことで、企業の担当者からマイナスイメージを持たれることもあります。

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まずは、年収交渉でやってしまいがちなNG例を知り、年収交渉のやり方をおさえておくことが大切です。

年収交渉でよくあるNG例

ここからは年収交渉でよくあるNG例を5つご紹介します。

1.焦って年収交渉を進めようとする

年収を気にするあまり、面接の場で突然年収交渉を始めてしまう方もいますが、焦って年収交渉を進めてしまうのはNGです。

焦りが伝わることで、担当者からガツガツした印象を持たれてしまいます

年収交渉にはタイミングも重要です。いきなり年収の話を持ち出してしまうのではなく、タイミングに気をつけた上で落ち着いて話を切り出すことがポイントです。
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年収交渉のタイミングは年収アップ成功のための重要なポイントでもあるため、後から詳しく解説します。

2.業界の年収相場を理解していない

業界によって、年収相場は異なるものです。

「今、500万円もらっているから、転職後は600万円もらいたい」と安易に年収を考えてしまうと、年収相場から大きくはずれてしまう可能性があります。

あまりに年収額を高くなってしまうと、希望に添えないと企業側から内定を見送られてしまうことも。
業界ごとに平均年収が異なるので、無理な希望額を提示してしまう前に、業界研究、企業研究をしておきましょう。

3.根拠のある希望年収を提示していない

よくあるケースが、前職と同等の年収は無条件で貰えると思ってしまうことです。

前職の年収はあくまで参考でしかなく、企業側が知りたいことは、自分の企業でどのくらいの結果を出してくれるのか、というところにあります。

そのため、前職の年収をそのまま提示したり、企業側が提示している以上の希望額を求める場合には、それ相応の実績を積み、企業側に納得してもらえるようなメリットを伝える必要があると言えます。

4.希望年収額を途中で変更してしまう

希望年収額を途中で変更するのは、絶対にやめておきましょう。

よく、転職者の中に

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書類選考や面接では印象良くしたいから希望年収を低く書いておこう

という方がいますが、希望年収額が一貫していないことで、「面接では適当に表面的に答えていた」とマイナス評価につながってしまうこともあります。

企業側が面接や書類選考時点で希望年収について尋ねる場合、選考をしていく段階から前向きに年収を検討していることがあります。

つまり、内定時に提示される年収額が選考段階で決まるため、面接時に答えた希望年収によって最終的に提示される年収が確定するということです。

そのため、内定後に年収交渉を行ってしまうことで、企業側は再度検討時間を設ける必要があり、二度手間となってしまうのです。
また、企業によっては、複数人を採用するところもあります。一人にかかる採用費用や年収などが大きく変わってしまうと、その分企業側の負担が増えてしまうため、希望年収は最初の段階で決めておくと良いでしょう。

5.前職の年収を偽ってしまう

中途採用の求人の中には、前職の年収を考慮する企業も多くあります。これは、前職よりも待遇をよくすることで、優秀な人材を獲得しようとする狙いがあります。

そのため、前職の年収を偽って転職活動を進める方もいますが、面接や選考の段階では嘘がばれなかったとしても、入社後に求められる源泉徴収票の提出で、ほとんどの場合、前職の年収がばれてしまいます。

企業側は前職の年収を考慮して期待値として年収交渉に応じます

したがって、嘘をつくことで業務のハードルが上がったり、求められる目標が高くなったりとデメリットも生じてしまうため、前職の年収は嘘をつかない方が無難です。

最悪の場合内定取り消しも

年収交渉はしてもOKですが、年収交渉に失敗してしまうことで、逆に年収が下がってしまったり、最悪の場合内定の取り消しになってしまうこともあります。

ここで注意が必要なのは、年収交渉することが必ずしも悪いのではなく、年収交渉自体で内定が取り消されることはほとんどないということです。

年収交渉は、企業側と転職者が業務内容のすり合わせを行う場です。

双方のメリットを考えた上で年収額が決定されるため、企業側の事情にも配慮した上で、きちんと自分の希望を明確に伝えることが重要と言えます。

転職の年収交渉を成功に導く3つのポイント

ポイントは「事前準備」「タイミング」「伝え方」

転職の年収交渉を成功に導くポイントは3つあります。
  • 事前準備
  • タイミング
  • 伝え方
この3つのポイントをおさえることで、年収交渉が上手くいきやすく、年収アップにつなげることができます。

それぞれのポイントを詳しく解説します。

事前準備

まず大切なポイントは事前準備です。

事前に希望年収や業界分析を行うことで、要点がまとまり、落ち着いて年収交渉を行いやすくなります。

また、事前準備をすることで、年収交渉だけでなく、書類選考や面接などの選考にも役立ちます。

1.企業研究をしておく
年収交渉を行うためには、その企業の業績や平均年収について知っておくことが必要となります。

企業のこれまでの実績からあまりにかけ離れた年収額を提示しても、希望通りの年収を貰うことは難しくなります。

企業研究をした上で、提示する金額を調整することが大切です。
また、企業の現在の事業内容や今後の事業展開についても調べておきましょう。

将来性が見込める企業であれば、年収が上がる見込みもその分高くなります。また、将来の事業に関して、自分が活躍できるかどうかを判断することも大切です。

将来を見据え、どんな風にその企業に貢献できるのかを伝えることで、企業側に採用するメリットを明確に伝えられるようになるため、企業分析はしっかりと行っておきましょう。
2.業界の年収相場を知る
企業分析とあわせて調べておきたいのが、業界の年収相場についてです。

業界によって年収が大きく異なります。年収相場について調べることで、現職の年収や転職先で提示されている年収が適正額かどうかを知ることができます。

適正年収よりも大きく上回っている場合にはそれ以上の年収アップはなかなか難しくなりますが、大幅に下回っている場合、年収交渉の余地があります。

現職を続けるべきか、転職すべきかの基準としても大切なので、業界の年収相場については知っておくようにしましょう。

出典:doda「平均年収ランキング 最新版」

dodaでは職種や年代を選択して平均年収を簡単に検索することもできます。

他にも転職サイトにはさまざまなツールや転職ノウハウがあるため、自分の利用している転職サイトの機能を活用するのもおすすめです。

→転職サイト選びにも使えるおすすめ転職サイトの記事はこちら

3.自己分析を行う
自己分析は年収交渉の中でももっとも重要なポイントです。

提示金額よりも高い年収で採用するからには、企業側にも採用することで得られるメリットが必要です。

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「未経験だけどやる気はあります!」

「御社の利益に貢献します!」

意欲だけを伝えてしまうと、ざっくりしすぎてしまい、企業側を納得させることができません。
企業の担当者が納得するには、それなりの根拠が必要となるので、自分の実績や強みなどを把握し、企業分析の結果と繋げることが大切となります。

タイミング

年収交渉は焦って行うのではなく、タイミングを待つことも大切です。

企業によって、選考の進め方や年収交渉のタイミングが異なります。

基本的には、内定後の人事面談で行うのがベストですが、面接時点で年収の希望を聞き、内定時に提示された年収額が最終決定額となる場合もあるので、注意が必要です。
また、入社後の年収や賞与などの各種手当を自分から聞くのはなるべくやめておきましょう。あくまで企業から年収や希望について聞かれたときが年収交渉を行うタイミングと言えます。
1.転職サイトや履歴書の希望年収欄の記入を行う
転職サイトの応募フォームや提出書類に希望年収を記入する欄がある場合には、事前準備を行った上で、希望する年収金額をきちんと記入しておきましょう。

企業によっては、書類選考の段階で、年収についての見直しを行うところがあります。

また、書類にきちんと記入しておくことで、面接や最後の人事面談などの際に年収交渉の話がスムーズに進められる場合も。

書類選考、面接、人事面談と希望年収を一貫させることもポイントです。
2.面接では基本的に自分からは聞かない
面接の段階では、基本的に年収交渉を行うのはNGです。

企業側がまだ採用するかどうかを確定していないタイミングで聞いてしまうと、どんなに志望理由で業務内容や企業理念の魅力について語っていても、結局は給与面や待遇面しか見ていないと判断されてしまう可能性があります。

ただ、面接の中で

  • 年収についての希望はありますか?
  • 前職の年収はどれくらいでしたか?

など、年収について聞かれる場合があります。

その際、企業側の提示金額に合わせて答えてしまうのもNG。この時点で企業側の提示している年収で問題ないと答えてしまうと、今後の年収交渉がしづらくなります。
伝え方に注意した上で、自分の希望する年収を正直に答えるようにしましょう。
3.最終面接後に人事面談が行われることも

最終面接後に内定者として人事面談が行われるところもあります。

人事面談は選考ではなく、条件面での確認となるため、年収交渉を行うチャンスです。
人事面談の際も自分から年収交渉を行うのは避けた方が良いですが、条件面に関する質問時間を設けられた際には、最初から年収交渉を行うのではなく、あくまで質問という形で聞くと、年収交渉を行う流れへと持っていきやすくなります。

伝え方

企業の担当者も1人の人間です。たとえ、転職理由がお金であったとしても、それを直接伝えたり、自分の主張ばかり通そうとしてしまうと、採用しようとする意欲がなくなってしまいます

あくまでも謙虚な姿勢で冷静に伝えることが何よりも大切なので、それぞれのポイントをしっかりおさえておきましょう。
1.実績などを根拠にプレゼンを行う
企業側に年収交渉を行う場合、年収を上げる根拠やメリットが必要です。

事前準備で企業分析や自己分析を行って導き出した根拠やメリットに基づいて、希望額を伝えることで、企業の担当者を納得させることが重要と言えます。

NG例)販売のルート営業の経験があり、御社に貢献できます。
ただ営業の経験があるとざっくりと伝えてしまうと、企業が期待する以上の業績を出すことができるのかがわからず、年収交渉に応じることが難しくなります。
OK例)前職では販売ルートの営業をするとともに、営業先のネットワークを大切にし、新規事業開拓に力を入れてきました。前職では1年間で100社以上との新規取引を実現し、年間目標額を1,000万以上超えるなど、営業促進に貢献してきました、御社では今後、オーガニック商品などを海外に展開していく方針だとうかがいましたが、前職で培ったネットワークと、交渉力で、御社の新規事業を成功に導くことができると考えております。
このように前職での実績を伝えた上で、企業のどの部分でどのくらい貢献できるのか、ということを具体例をしめしつつ明確に伝えることで、年収を上げてでも採用するメリットを伝えることができます。
2.最低限の額と理想額を伝える

いきなり希望する年収額を伝えてしまうと、企業側も年収の検討をしづらくなってしまいます。

年収交渉を行ったとしても、なかなか希望通りの年収はもらえないもの。交渉を行っても、希望年収額よりも少し下がることを想定することが大切です。

そのため、

  • 最低限の年収額
  • 現実的な年収額(希望年収額)
  • 理想的な年収額

をそれぞれ考え、企業側には最低限の年収と希望年収額よりもちょっと高めの理想的な年収額、そして最後に希望年収額を妥協案として伝えることがポイントです。

一方的に高い年収額を提示してしまうと自分本位なイメージとなってしまいますが、妥協額として提示することで、交渉が上手くいきやすくなります。
3.一方的にならずに冷静に行う
いきなり年収の話から入ってしまうと、企業側から見れば一方的な印象になりかねません。

そのため、話をスムーズに進めるためにも、仕事に対する強い熱意を伝える前置きをした上で、年収や待遇面の話に持っていくことが重要です。

条件面のご提示ありがとうございます。ご期待以上の成果があげられるよう、全力で業務に取り組んでまいります。大変恐れ入りますが、給与体系に関しましてご確認させていただいてもよろしいでしょうか。

と前置きして切り出した上で、

ご提示いただいている給与、年収額をご検討いただくことは可能でしょうか。

と年収交渉へと話をもっていくと、不躾な印象にならず、交渉を進めることができます。

  • 前職の年収
  • 今後活躍できるメリット
  • 他に内定をもらっている企業がある

など、伝えたいポイントをまとめた上で、慎重に話を進めていくことが大切です。

一方的に自分の希望を伝えるのではなく、担当者の反応を見つつ、しっかりと伝えることで、年収の再検討を行ってもらえる可能性があります。
ただ、人事との面談の場合、すぐには年収について回答できない場合もあります。できる限り早いタイミングで相手への配慮を忘れずに伝えるよう心がけましょう。

年収交渉に自信がないときは・・・転職エージェントの利用も検討

ここまで自分で年収交渉を行う方法についてご紹介してきましたが、

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「入社前だから印象を悪くしたくない・・・」

「お金の話はなかなか切りだしにくい・・・」

など、自分からなかなか年収交渉を行えない方も多くいます。

しかし、金銭面の問題は、入社後の生活にも大きな影響を与えてしまう可能性もあるため、早めに解決しておくことが重要です。

直接年収交渉が行えないという方は転職エージェントを利用することも1つの手です。

転職エージェントでは、

  1. 転職の悩み相談
  2. 求人紹介
  3. 履歴書・職務経歴書などの提出書類の添削
  4. 面接対策
  5. 面接日の日程調整
  6. 内定後の年収交渉

など、さまざまな転職支援を受けることができます。

転職エージェントは業界知識や年収相場なども把握しており、転職者と企業の間に入って、双方の条件のすり合わせを行ってくれるため、年収交渉が上手くいきやすいというメリットがあります。

出典:エン ミドルの転職「転職コンサルタントの本音」

実際に、エン ミドルの転職が行った調査では、転職エージェントが年収交渉を行い、約97%が年収アップに成功したという結果が出ています。

また、直接的な年収交渉を行ってもらえるだけでなく、受ける企業にあわせた自己PRの仕方や面接対策なども行ってもらえるため、企業側にも転職者のスキルや魅力が伝わりやすく、最初に提示された時よりも良い条件でオファーが来る場合もあります。

年収交渉を行ってほしい方や転職サポートを受けたい方は転職エージェントの利用を検討してみるようにしましょう。

企業側と転職者の双方が納得できる交渉を

年収交渉は、企業側と転職者の双方が同意することで成り立ちます。

企業側も採用して実際に働いてもらわないことには、転職者の能力を完全にははかることができません。そのため、年収交渉に応じるということは、企業側もそれなりにリスクを背負っています

そのため、実績に基づいて自己の強みを伝えることで、企業側の期待値をあげられるよう交渉を行うことが一番重要なポイントと言えます。
また、希望通りの年収はなかなかもらえないことを念頭に置いておくことも重要です。理想、現実、最低限と年収を3段階に分けて考え、希望年収に近づけるよう、交渉するようにしましょう。

まとめ

自分のスキルや経歴に応じて年収を考慮してもらうことは大切なことであり、そのために年収交渉は有効な手段と言えます。

しかし、ただ一方的に自分の希望を押し通して年収アップをはかろうとすると、企業側にかえって悪い印象を与えてしまうこともあります。

したがって、自分の希望はしっかりと伝えた上で、一方的になりすぎないよう、双方が納得できるメリットを探すことが大切です。
teacher
  • 事前準備
  • タイミング
  • 伝え方

3つのポイントをおさえた上で、実績や自己の強みに基づいた上で、自分のキャリアや価値に見合った年収を提示することが何よりも重要です。

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