転職の提出書類や面接で現在の年収について聞かれることもあります。
この時、自分のはっきりとした年収が分かっていないと、適当に記入してしまったり、はっきりと答えられなかったりしてしまうこともありますが、現在の年収によって、転職後の年収が大きく変わる可能性もあるため、自分の年収についてきちんとおさえておく必要があります。
そこで今回は、転職における年収の計算の仕方や求人を見るときのポイントなど、年収に関わる3つの疑問について解説します。
転職活動で聞かれる年収は「手取り?」「総支給額?」
まず、転職活動で聞かれる年収とは、手取りを指すのか、総支給額を指すのかという疑問について詳しく解説していきます。
転職活動で聞かれる年収は「総支給額」
転職で聞かれる年収の話に入る前に、まず「年収」についての基礎知識を知っておく必要があります。
年収とは、一般的に社会保険料や所得税や住民税などの税金が差し引かれる前の1年間の総支給額のことを指します。
転職先の企業にとって、転職者が年間でどのくらいの給与を実際に受け取っていたかというところももちろん大切ではありますが、会社がその人を雇うことでどのくらいお金がかかるのかを想定するために年収を聞いている場合もあります。
源泉徴収票の見方
実際に入社すると、源泉徴収票の提出を求めるところもあります。これは、1年の途中で転職した場合に、転職先でまとめて年末調整を行うため、前職の源泉徴収票が必要となるからです。
ほとんどの場合、この源泉徴収票を担当者が詳しく見ることはないですが、提出書類や面接で答えた年収と大きく異なってしまうと、年収を水増ししていたとみなされることもあるため、なるべく源泉徴収票で正確な年収額をチェックすることが大切です。
出典:type
源泉徴収票について詳しく解説します。源泉徴収票には
- 支払金額
- 給与所得控除後の金額
- 源泉徴収税額
- 社会保険料等の金額
などさまざまな項目があります。
ちなみに、手取り金額は、支払い金額に源泉徴収税額と社会保険料の金額を引いたものです。
転職の際に手取り金額の算出は必要ありませんが、元々もらっていた手取り金額をきちんと把握することで、転職する際の最低の年収ラインを決めることもできます。
年収は前年度の実績がベースになる
そのため、前年度の源泉徴収票を残しておく必要があります。
年収は推定ではなく、実績で答えるのがベスト。きちんとしたベースに基づいて答えることが大切です。
源泉徴収票を見なくても年収は計算できる?
毎月の給与から年収は計算できる
源泉徴収票を見て年収を確認しましょうとお伝えしましたが、源泉徴収票が手元にない方も多いのではないでしょうか。
面接時ならまだしも、転職サイトに登録する時点で年収を記入を求められる場合もあります。
ここからは、年収の基本知識と共に、年収の計算法をご紹介します。
年収に含まれるもの、含まれないもの
まずは年収には何が含まれるのかを知ることが大切です。
細かく見てみると、年収として、
- 基本給
- 時間外手当
- 早朝深夜勤務手当
- 休日手当
- 役職手当
- 家族手当
- 資格手当
などが含まれます。
逆に年収として含まれないものもあります。
- 通勤手当
- 出張経費
年収の計算法と年収の答え方
それでは実際に年収を計算してみましょう。
年収は
で計算することができます。
額面月給とは、会社から支給されるお金の総額のことを指しています。この額面月給には通勤手当が含まれているため、年収から引いておくよう注意しましょう。
額面月給は1月から12月の給与明細を見ることで分かります。
また、給与明細もないという方は、手取り給与から大体の年収を計算することも可能です。
まず、手取り年収を計算します。
その後、年収を計算していきます。
手取り年収だと、税金や社会保険料が差し引かれてしまった状態になってしまいます。税金や社会保険料は年収の2割程度と言われれているため、手取り年収を80%で割ることでおおよその年収を計算することができます。
正確な年収を知りたい場合には、源泉徴収票や毎月の給与明細で確認することが大切です。
しかし、企業が知りたいのはあくまで正確な年収ではなく、大体の目安となる年収です。そのため、厳密に年収を計算しなくても、大きく年収が外れていなければ問題はありません。
年収は水増ししてOK?
前職の年収を高く見せることで業務上のハードルが上がったり、その分責任のある役職についたりと、メリットばかりではありません。
逆にスキルと年収が見合っていないことで、会社からの評価を大きく落としてしまう可能性もあります。
モラルに基づいて年収申告を
年収の計算方法についてご紹介してきましたが、源泉徴収票を見ない限り、年収額について把握することはなかなか難しいことです。
なるべく源泉徴収票に沿った形で年収を答えた方が良いですが、給与明細が手元になかったり、入社1年目で実績がなかったりとさまざまな事情もあります。
源泉徴収票や給与明細の再発行の手続きをすることで、現在勤めている企業に転職活動がばれてしまうケースもないとは言えません。
そういった場合にはおおよその推定年収で答えることも時には必要です。
企業は業界の年収相場や社内での給与基準と転職者の年収を照らしあわせ、採用を決めたり、任せるポジションを決めたりします。
本当は年収400万円なのに年収600万円と嘘をついてしまうことで、企業側からの期待値も大きく変わります。
そこで仕事についていけず困ってしまうのは自分と企業なのです。
しかし、実際の年収325万円なのに年収350万円と書いてしまったとしても、そこまで大きな額ではないため、問題とならないこともあります。
求人の年収の見方のポイントとは?
自分の年収が分かったら、次は企業の年収をきちんとチェックしておく必要があります。
求人の見方について解説します。
求人の年収は嘘が多い?
求人の年収例として、年齢別にモデルケースが書かれている場合も多くあります。
そのため、
- 年収600万円実績あり!
- 入社1年目で500万円も夢ではありません!
など甘い言葉が書いてあっても、鵜呑みにしてしまうのは危険です。
とならないためにも、求人に書かれている年収を見極める必要があります。
求人に書かれている年収を見るときのポイント
求人に書かれている年収を見るときのポイントは3つあります。
- 適正年収を知っておく
- 年収から手取りを計算する
- 福利厚生をチェックする
1つずつチェックしていきましょう。
1.適正年収を知っておく
まず業界の年収相場についてです。年収は業界によっても大きく変わります。専門職やコンサルティングなどは年収が高い傾向にありますが、クリエイティブ系やサービス系などは年収が低いところも多くあります。
また、エン転職など、転職サイトによっては、元社員の口コミから求人を出している企業ごとに平均年収を掲載しているところもあります。
出典:エン転職
企業ごとに平均年収を確認できるので、求人に書かれている年収例が不可能な数字なのか、可能なのかを知ることができます。
出典:doda「年収査定」
dodaでは年収査定のツールで、年収査定の結果をもとに適正年収やキャリアの可能性を知ることができます。
→転職のプロもおすすめする転職サイトはこちらの記事をチェック。
2.年収から手取りを計算する
企業が提示している年収も「総支給額」となります。
そのため、自分の手取りなどから年収を計算してしまうと、
という結果にもなりかねません。
各種手当の扱いにもよりますが、社会保険料や税金などを全体の2割とすると、
になります。
出典:マイナビ転職
こちらの表で、大体の年収額から手取り金額を想定することもできます。
3.年収の細かい内訳をチェックする
残業手当や早朝深夜手当、役職手当などによって、もらえる年収が大きく変わります。
たとえば、
- 年収500万円(29歳/入社3年目/リーダー職/扶養家族なし)
- 年収500万円(32歳/入社8年目/課長職/扶養家族あり)
では、同じ年収額でも意味合いが変わってきます。
転職を成功するためには年収交渉も必要に
前職の年収は嘘がつけないものです。本当は実力的にはもっともらえるはずなのに、前職の年収が邪魔をして正当な評価をされない場合もあります。
多くの企業では優秀な人材を他の企業にとられないように、年収を高く提示し、良い条件で人材を獲得しようとしています。
「自分で年収交渉を行うのは自信がない・・・」
「年収交渉で評価が下がったらいやだな・・・」
という方は、転職エージェントに年収交渉を行ってもらうことも可能です。転職エージェントは企業との信頼関係もあるため、年収交渉が成功しやすいというメリットがあります。
まとめ
今回は、転職活動で聞かれる年収の計算の仕方や求人を見るときのポイントなどについて解説しました。
計算の仕方を覚えておくと、源泉徴収票をなくしてしまった場合にも焦らなくて済むため、
- {月の手取り給与-通勤手当}×12カ月+賞与=手取り年収
- 手取り年収÷0.8%=年収
また、求人に書かれている年収は誰もがもらえる金額が書かれていない場合があります。