転職する上で、「年収」は求人を比較する上で重要な要素の1つ。転職して、できれば今以上に年収を上げたいと考える方は少なくないでしょう。
しかし、転職サイトの年収表記には意外な落とし穴もあり、
なんてことも。
そこで今回は、転職サイトの年収表記の裏事情と優良求人を見分けるコツをご紹介します。
転職サイトの年収の裏事情
転職サイトのモデル年収は信じて大丈夫?
転職サイトの求人には、給与のほか、「年収例」や「年収モデル」が記載されている場合があります。
- 400万円(入社1年目/20代)
- 550万円(入社4年目/30代)
など、さまざまな年収例が書かれていますが、
と疑問を感じる方も多いのではないでしょうか。
実際に、口コミでも多くの疑問の声が上がっています。
自分の会社の求人情報を転職サイトで見たら事務総合職経験1年で年収450万とか月給35万とか書いてあってふざけんなって感じ😠 5年目で年収300万以下ですけど!?どんだけ嘘書いてんだよ
— 七室 尤 (@nanamuro) January 22, 2020
日本の転職サイトにおける年収例の嘘はなんなのだろうか?
それを見破れずに転職されてしまう人たちが多すぎて、その結果マッチアップできないケースが多すぎ。
年収例が実績としてあったとしても、募集要項に書かれている年収例と実際の役職の年収例とのギャップがあると思う。#転職サイトの嘘— ナノ☆neeo (@janeeshi) March 6, 2019
転職サイトの求人掲載を見ると、年収例が書いていない求人や、詳細に書かれているところなど、同じ業種や職種の求人でもさまざまです。
転職サイトでの年収表記の注意点
転職サイトの年収表記の注意点は5つあります。
- 転職サイトの年収は企業からの申告で決まる
- 手取りではなく、総支給額で書かれていることが多い
- 「最低年収」ではなく、「最高年収」と捉える
- 残業や手当がついている可能性も
- 「試用期間」の給料と期間に注意
1つずつ詳しく見ていきましょう。
1.転職サイトの年収は企業からの申告で決まる
ほとんどの転職サイトでは、
- 企業が求める人物像や雇用形態、募集要項などを検討
- 転職サイトに問い合わせ
- 企業と営業担当者が打ち合わせ
- 掲載の申し込み
- 転職サイトの担当者が求人原稿の作成
- 企業が求人原稿の確認
- 掲載
という流れで求人掲載が進められます。
この流れから見ても分かるように、大体の掲載内容については、企業と営業担当者が打ち合わせをした内容が反映されます。
エン転職やtypeのように独自取材を設けているところや、元社員などの口コミを掲載しているところもあり、実際の平均年収に近い形で掲載されていることもあります。
出典:エン転職
採用担当者が確認しているポイントは、あくまでも
- 最低賃金を下回っていないか
- 提示されている給与と年収の計算が合っているのか
という最低限での確認でしかありません。
2.「手取り」ではなく、「総支給額」で書かれていることが多い
そのため、
- 月給35万円以上
- 年収420万円以上
このように表記がしてあったとしても、ここから社会保険や厚生年金などが引かれるため、年収420万円をそのままもらえるという訳ではないのです。
- 年収400万円以上を約束します!
と書かれていても、情報をそのまま鵜呑みにしないように注意が必要です。
3.「最低年収」ではなく、「最高年収」
企業側にとっては、転職者に対して「いかに自社の求人をよく見せるか」が重要なため、少しでも高いモデル年収を提示したいと考えています。
そのため、年齢や業務年数を考慮した上で、自社の中で最も出世した方の年収推移を用いて、モデル年収を算出しています。
実績に基づいたものであるため、嘘ではなく、実際にその年収まで到達する可能性もありますが、入社1年目や2年目などではほとんど達成することができない高い指標と言えます。
4.残業手当や役職手当、賞与などが含まれている可能性も
モデル年収はあくまでも例でしかなく、必ず貰える年収額ではありません。
特にボーナスの支給については注意が必要で、必ず毎年同じ額だけのボーナスが貰えるとは限りません。
5.「試用期間」の給料と期間に注意
入社2年目以降の年収例は問題ありませんが、入社1年目の年収が書かれている場合には試用期間中の給与についてみておく必要があります。
また、試用期間の長さが人によって変わることも。いつ、どのタイミングで正式な額の給与が貰えるようになったかで、1年間のトータルの給与は変化します。
転職サイトのモデル年収はあくまで目安と捉える
転職サイトのモデル年収に関わる5つの注意点について説明してきましたが、共通して言えることは、
ということです。
企業の採用担当者は当然、
「他の求人よりも自分の求人を見てもらいたい」
「他の企業よりもよく見せたい」
と考えています。
そのため、嘘をついたという意識がなく、安易に一番優秀な人の年収例を使ってしまうケースも少なくありません。
転職サイトの優良求人の見分け方
転職サイトのモデル年収は嘘だけではない
求人を出すからにはどこの企業もできる限り優秀な人材を獲得したいと考えるもの。
単純に
- 年収が良かったから
- 給与が前職よりも高かったから
と求人情報に書かれている良い情報だけを鵜呑みにしてしまうと、
「いつまで経ってもモデル年収に到達しない・・・」
「ブラックな企業に転職してしまった・・・」
なんてことになりかねません。
企業によっては、平均年収を算出していたり、具体的な年収推移を提示していたりと、転職者側に立っている企業もあるのです。
優良求人の見分けるコツ5つ
1.月給についての記載が年収と合っているか確認する
年収だけでは、賞与や各種手当などが含まれてしまい、人によって金額の差が生まれてしまいます。
月給
25万円~35万円(みなし残業40時間含む)※経験・スキルを考慮の上、決定します。
年収例
560万円(入社2年目/賞与2回分含む)
と書かれていた場合、
単純計算で35万円×12か月=420万円となり、それに賞与(1回につき給与2か月分と想定)2回を含めると、合計額が560万円となります。
また、「年収〇〇万円以上」など、ざっくりとした表現を使っているよりも、具体的な給与の増減幅が書かれているかどうかも重要です。
- 頑張りを評価します!
- 年収アップをはかれます!
と書かれていても「どういう目標を達成すれば、どのくらい給与が上がる」などの指標が定量的に示されていなければ、年収が上がるという確証がありません。
2.具体的なモデルケースが記載されている
年収には各種手当や賞与などが含まれているため、在籍年数や役職、さらには家族構成などによっても金額が大きく変わります。
同じ年収でも、
- 年収450万円(27歳/入社2年目/役職なし/借家)
- 年収450万円(30歳/入社8年目/リーダー職/借家/配偶者扶養)
では、年収の判断が全く異なります。
3.年収の内訳は必ずチェックする
福利厚生などの項目にも関わってきますが、給与にみなし残業代が含まれていたり、特別な資格に対する手当が充実していたりと、企業によって給与の内訳はさまざまです。
年収例
620万円 ※月給35万円+みなし残業手当月5万円(月残業時間:40時間以内)+賞与4か月分
ただし、求人の年収欄は業務内容や応募要項などとは異なり、必須項目ではなく任意の項目として記載されていることがほとんどです。
しかしながら、逆に言えば、年収などの内訳も提示している企業は、きちんとした給与制度があり、福利厚生などもきちんと完備されているところが多いとも言えます。
4.見出しの強調表現がある場合は給与欄をチェックする
求人情報は、転職者から見られないことには、採用につながりません。
そのため、
- 「入社1年目で年収800万円以上も!」
- 「平均年収750万円」
と見出しで高年収を強調している求人もあります。
そのため、
- 勤めていた人の中に800万円以上の年収だった人がいた
- 経験者の平均年収が750万円だった
というように、特定の人が貰っていた年収がそのまま記載されているケースも少なくありません。
経験者と未経験者で給与が異なる場合には、想定できる年収は大きく変わります。
5.前職の給与が関係しているかどうか
給与欄を見ていると、
と書かれている場合があります。
と思ってしまいがちですが、前職の給与次第で、低く見積もられてしまうケースもあります。
転職サイトの求人は細かくチェックを行うことが大切
転職サイトの求人でつい「給与」や「年収」の総額自体に目がいってしまいがちですが、各種手当の表記がなかったり、モデル年収額と月給額がかけ離れていたりと、求人情報を細かくチェックすることで、正しい情報を引き出すことができます。
企業にとってはあまり求人情報には悪い側面を見せたくないもの。あまり給与面や待遇の悪さを隠すために、あいまいな表現を多用したり、誇張した表現を使いがちです。
一方で、優良な企業ほど、給与面や条件面をきちんと記載している傾向にあります。
→転職サイトおすすめ記事「【2020年】おすすめ転職サイト!転職5回全て年収アップの転職のプロが「絶対」におすすめしたい転職サイト比較ランキング」
まとめ
転職サイトのモデル年収を見て、企業を選んでしまう方も多いですが、転職サイトのモデル年収はあくまでも目安にすぎません。
そして、中には、きちんとしたデータに基づいて、年収や給与情報を掲載している優良求人もあります。
- 月給についての記載が年収と合っているか確認する
- 具体的なモデルケースが記載されている
- 年収の内訳は必ずチェックする
- 見出しの強調表現は参考程度に
- 前職の給与が関係しているかどうか
求人情報を細かく見ていると、年収以外にも福利厚生や業務内容などの矛盾に気付くこともあります。